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    2007

09.25

( ^ω^)が家庭を売るようです

1 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:39:27.23 ID: yVfKkUwb0


  「さて、本日もこの番組、『今日もVIPりww』はいよいよ最後のコーナーを迎えました」

  「最後は当然、大人気のあのコーナー……」

     『今週の内藤家~!!』

  「5人の子供を持つ、職無しお父さん、内職お母さんの微笑ましくも頑張る姿を最後にお届けします。
  どんな家族でも一度は経験する『あるあるww』から、
  特別な事情の家族ならではの『ねーよww』までお届け!」

  「どうやら今日は長男と次男が喧嘩したようです、その喧嘩の原因とは?
  お母さんのせっかく作った内職を踏んでしまった子供は? その後どんな行動をとった?」

  「今週もお母さんは大激怒、お父さん、早く職を見つけて!」

  「それではVTRスタート!!」


3 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:40:59.00 ID: yVfKkUwb0
  内藤一家紹介


  父親:( ^ω^)内藤ホライゾン(38歳♂)
    職無し、小太り、色白、語尾の少しおかしな憎めない大黒柱!
    早く職を見つけて!

  母親:ξ ゚⊿゚)ξ内藤ツン(35歳♀)
    内職で一家を支える、若々しく頼れる美人お母さん!
    怒った時は一家最強!


  長男:(,,゚Д゚)内藤ギコ(13歳♂)
    中学校へ行き、一層元気に! サッカー部のレギュラー。

  長女:川 ゚ -゚)内藤クー(13歳♀)
    我が道を行く長女、誰が暴れていようと関係無しだ。

  次男:( ´∀`)内藤モナー(10歳♂)
    ほんわかとした笑顔の絶えない、ムードメーカー。

  三男:( ^Д^)内藤プギャー(7歳♂)
    はしゃぎたい年頃、お兄ちゃんに迷惑掛けないで!

  次女:(*ノωノ)内藤アプー(2歳♀)
    何かあるとあるとすぐに泣いちゃう、口癖は「あぷー」。


4 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:42:52.11 ID: yVfKkUwb0
TV『さあ、紹介も終わったところで視聴者のみんなを内藤一家へ招待だ!』


( ´∀`)「あ、ほら僕映ったモナ! 特大アップだモナ」

( ^Д^)「チビ兄ばっかずるい、いっつも初めじゃん!」

( ´∀`)「もう僕がマスコットモナ」

(,,゚Д゚)「んだよ、俺とオマエの喧嘩って事は、お前の泣き顔が映るって事だぜ」

( ^Д^)「プギャー」

( ´∀`)「しっとはみにくいモナ」

(#゚Д゚)「んだと?」

ξ#゚⊿゚)ξ「はいはい、あんた達食事は静かに食べなさい、何度言えば分かるの!」

( ^ω^)「まったく、静かに食べれないのかお」

(,,゚Д゚)( ´∀`)( ^Д^)「はーい……」


川 ゚ -゚)「……ほら、こぼすなよ」

(*ノωノ)「あぷー!」


          ( ^ω^)が家庭を売るようです


5 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:44:34.70 ID: yVfKkUwb0





    第0話 「過程」





7 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:46:17.18 ID: yVfKkUwb0
人生とはつくづく何が起こるか分からない、自分の岐路は昨年の秋にまで遡る。

(´・ω・`)「お前、クビな」

(;^ω^)「ちょwwwwwおまwwwwwねーよwwww」

勤めていた会社から受けた突然の解雇宣言、寝耳に水にも程がある。
納得などいくわけが無い。

(´・ω・`)「安心してくれ、腹筋する必要など皆無だ、なぜならこれはバーボンではないのだよ残念ながら。
  正直今まで君をこの会社に置いておいた事を大いに後悔している。
  猫の手に給料を払うほどうちの会社には余裕が無いんだ」

(;^ω^)「そんな……僕ももう30後半、今更再就職なんてどう考えても無茶だお!
  絶対無理無理無理、そんな無謀な挑戦伊東万寿男でも成就不可能だろ常識的に考えて……。
  可能性の限界に挑戦する事が格好いいとか思ってんの、ヤダーキモーイ中二病が許されるのは30までだよねー」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞこの社会不適合者が、結婚したから渋々切らずに置いておいたら図に乗りやがって。
  てめぇのその眉間のホクロを見る度に言葉に出来ない黒い感情が俺を支配するんだよ、今の様な感情が!
  お前が会社に何を貢献した、つか会社のPCでウィニーやるなよ常考……」

(#^ω^)「ウィニーじゃないお、WinMXだお知ったかぶり乙。
  こんな糞会社こっちから止めてやるお、お前覚悟しとけお!
  明日絶対2chで祭り上げてやる、突撃してHP落としてやるおwww田代砲うめぇww」

(´・ω・`)「あばよ、二度と会うことは無いだろう」

(#^ω^)「二度と会いたくもねーよ、次会った時があんたの人生の終着駅だ」

そうして僕は5人の子供を持っているにも拘らず、職を失った。


8 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:48:03.32 ID: yVfKkUwb0
もとより上司とは反りが合わなかったのだからこのすれ違いは必然ともいえた。
しかし子を養う身、そう簡単な問題ではない。
家に帰れば妻が鬼のような形相で叫んだ。

ξ#゚⊿゚)ξ「はぁ? アンタ何考えてんのバカじゃない?」

(*^ω^)「ハァハァ……もっと……!!」

ξ#-⊿-)ξ「いいからさっさと新しい職を探してきなさいよ!」


促されるままハローワークを転々とした。
そして言われることはどこでも決まっていた。


  「うーん、30後半でか……20代ならなんとでもなるんだけど……」

(;^ω^)「犯る気と行動力は人一倍ありますお、お願いします!」

  「すまないが他の地域あたってくれないか?
  君の望む職ではちょっと無理だ」

三流大学を卒業してから一年の就職浪人を得て、ようやく職に就いたのが14年も前の話。
それからずっと事務業をだらだらと行い続けてきた自分には、資格もキャリアもなかった。

日雇いや警備員のような仕事しかなく、ほとんどの所では冷やかし同然に扱われた。

( ^ω^)「これはもうダメかもわからんね」


9 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:50:03.97 ID: yVfKkUwb0
ことごとく門前払いを受けた自分は、最終的には知り合いのツテを当るしかなかった。
小学中学高校大学、プライドなど捨て、地べたに這いつくばって懇願した。

職を、くれと。


そして季節は春一番が吹いたか、年が明けてから数カ月した時のこと。

('A`)「で、結局職は見つかったのか?」

( ^ω^)「ダメダメだお……結局人間なんて上辺だけ仲間面して、心では他人なんてどうでもいいと思っているんだお」

('A`)「おお、良く俺の心読んだな」

(#^ω^)「死ね、氏ねじゃなくて死ね」

ちょうど中学時代からの旧友であり、唯一の親友ともいえるドクオと話をしていた時だ。

(#^ω^)「なんだお、ツテの一つも持たないエリートちゃんが調子のんなお」

('A`)「ツテないのは事実だが、俺は俺なりに頑張ってVIP放送局に入ったんだ。
  今も上から新しい企画立てろだなんて言われて、気の休まる暇もなく苦労している。
  お前は次にはサボることしか考えていないだろ、そりゃ無理ってもんだ」

(#^ω^)「エリートちゃんは言うことが違うお」

('A`)「ツテがなくても俺は全国一番のテレビ局に入れたんだ、お前とスタート地点は一緒だ。
  ただ、お前は走らずにゴールする方法を考え、俺は一歩一歩前へと進んだ、それだけだ」

( ^ω^)「格好いい比喩ですこと、はいはいわろすわろす」


10 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:51:46.28 ID: yVfKkUwb0
('A`)「つーか、子供5人目生まれたんだって?
  仕事もせずに別方面へ精ばっか出して、本当甲斐性なしだわ。
  お前、それでよく職を選ぶだなんて悠長なこと言ってられるよな」

( ^ω^)「誰にでも媚びてプライドを捨てられるエリートちゃんとは違うんだお。
  やりたくない事はやらない、自分の意志だけは絶対曲げないのがポリシー」

('A`)「お前のそれはポリシーじゃねーよ、欲求に身を任せ自分を制御出来ていない、動物的思考だ。
  我慢もできない、楽したい、当然の考えだがそれに身を任せるあたり人間的じゃない。
  とりあえず社会の一員としては失格だ、お前を10年以上も雇った会社を尊敬するよ」

( ^ω^)「10年も働かせておいて簡単に切るあたり、心無い会社だお。
  利益ばっかり意識して感謝の気持も持たない糞上司。
  人間腐ってもああはなりたくないお」

('A`)「感謝しなきゃいけないのはどっちやら……」

やれやれと言いた気だったが、突然何を閃いたか。
ドクオは今までと違い興味ある顔を向けた。

('A`)「内藤、今思ったんだがお前の家庭って非現実的だよな。
  父親が職なしの7人一家なんて聞いたことないぞ」

( ^ω^)「自分事だとあまり実感ないけど、聞いたことはないかもね」

('A`)「なあ、家庭を俺に預けてみる気はないか?」


11 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:53:35.24 ID: yVfKkUwb0
( ^ω^)「家庭を預ける? 子供の世話してくれるのかお、やっぱり持つべきものは友達だお!」

('A`)「ちげーって、逆だ、お前は仕事せずに世話するだけでいいんだ」

( ^ω^)「マジかお、仕事しなくてもいいのかお!?
  でも、家庭を預けるって……?」

('A`)「聞けって、さっきも言ったけど、俺は今ようやく一つ大きな番組任されてな。
  そのコーナーが一つ埋まらなくて四苦八苦していたんだ。
  『密着・職無し父親の7人家族生活』……どうだ、興味惹かれないか?」

( ^ω^)「最高だおドクオ格好良すぎるお持つべきものは友達だお!
  当然ギャラも出るんだお?」

('A`)「ああ、出してやるよ。早速草案を作ってみるが、やってくれるんだな?」

( ^ω^)「喜んでやってやるお、ビバ親友!」




そしてそれから一週間ほど経ったか、30枚にも及ぶ資料が家へ送られてきた。
初めの方はよく分からないテレビについてや今回の契約云々について。
大まかに自分の家庭に設けられた条件は以下の通りだ。


13 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:55:29.49 ID: yVfKkUwb0
   1.室内には常に監視カメラを設ける。
     会社側に許可なく外してはいけない、および増設設置もありうる。
     映像データはすべて弊社へ帰属する。

   3.父親は常に、仕事を探すこと。
     これについては「ふり」に留めなければならない、決して職に就かないこと。

   4.お金は支給するが、暮らしぶりはあくまで質素に行うこと。
     変化によっては支給額を変動させることもあり得る。

   8.仕事先、出かけ先、学校など、外出時にもカメラが従うことがある。
     また、外出するときは常に弊社へ連絡すること。

   13.毎日何らかの変化、出来事を作ること。
     何も起こらない日は作ってはならない。

         :
         :

   以上を遵守せぬ場合、許可無く支給及び報酬を控える事もあり得る。
   また、放送についての規則は別紙を参照すること。


15 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:57:15.55 ID: yVfKkUwb0

認め印を押すと、数日後にはドクオから上司の許可が降りたと連絡が来た。


3月末、家中の到る所にカメラが設置された。
家族ですら把握できていない、数は合計30台にも上った。


そして来る4月。


とうとう番組作りが開始した。


新しい、監視された家庭がいよいよ始まったのだ。





20 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 19:59:00.17 ID: yVfKkUwb0

( ^ω^)「ただいまー」

ξ ゚⊿゚)ξ「おかえりなさい、あなた」

( ^ω^)「飯できてるかお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「はいはい、みんな待ってるわよ」


( ^Д^)「おせーよとーちゃん」

( ^ω^)「悪い悪い」

(,,゚Д゚)「それじゃ、食べるか」


ξ ゚⊿゚)ξ( ^ω^)( ^Д^)(,,゚Д゚)川 ゚ -゚)( ^Д^)「いただきまーす!」


川 ゚ -゚)「……」

( ^Д^)「……ぷっ!」

( ^ω^)「なんだこれ、おままごとみたいだお!」

(,,゚Д゚)「緊張するんだよ」

( ´∀`)「ははー」



21 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:00:44.41 ID: yVfKkUwb0

( ^ω^)「それじゃ、行ってくるお」

ξ ゚⊿゚)ξ「はいはい、行ってらっしゃい」


(,,゚Д゚)「おい、早くしろよ!」

川 ゚ -゚)「行ってきます」

ξ ゚⊿゚)ξ「はい、行ってらっしゃい」

(,,゚Д゚)「おい、早くしろって」

( ´∀`)「もうちょっとモナ……」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほらほら、モナー急ぎなさい、お兄ちゃんが待っているわよ!」

( ´∀`)「わかってるモナ、行ってくるモナ!」

(,,゚Д゚)「行ってるわ」

( ´∀`)「いってきまーす!」

ξ ゚⊿゚)ξ「はいはい。行ってらっしゃい」



23 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:02:33.43 ID: yVfKkUwb0

( ^Д^)「友達の家行ってきまーす!」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほら、ちゃんと報告していきなさい!」

( ^Д^)「あ、うん」

(,,゚Д゚)「俺も行ってくるわ」

ξ ゚⊿゚)ξ「待ちなさい、宿題はどうしたの!」

(,,゚Д゚)「帰ってきたらやるよ、絶対だって!」

ξ ゚⊿゚)ξ「いけません! やってから行きなさい!」

(,,゚Д゚)「でも、やってたら遊ぶ時間がない……」

ξ ゚⊿゚)ξ「集中してやれば大丈夫よ。
  宿題を終わらせないと外出は認めませんから。わかった!?」

(,,゚Д゚)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「返事は!?」

(,,゚Д゚)「……はい」

ξ ゚⊿゚)ξ「まったく、遊ぶ事しか考えない……クーを見習いなさい。
  遊びたい気持ちを抑えて毎日アプーの面倒見てくれているのに。
  そもそもアンタはいつも……」



25 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:04:50.25 ID: yVfKkUwb0

( ´∀`)「ただいまー」

ξ#゚⊿゚)ξ「こら、ちゃんと靴は揃えて脱ぎなさいって何度言えばわかるの!?
  そういえばこの前も洗濯物、ポケットにティッシュ入っていたわよ?
  何度言っても分からないわね」

( ´∀`)「……」

ξ#゚⊿゚)ξ「それくらい当たり前なんだから、それともお母さんが洗濯してくれて当然なんて思ってないでしょうね?
  次あったらあんたに洗濯物させますから、わかった?」

( ´∀`)「……はい、ごめんなさい」

ξ#゚⊿゚)ξ「ほら、モナだけじゃないわよあんた達もよ!
  わかった!?」

(,,゚Д゚)「……はい」

( ^Д^)「……はい」

ξ#゚⊿゚)ξ「まったく、いっつも返事はいいんだけど明日には忘れているからねこの子たちは本当にもう!」


(*ノωノ)「あぷ」





26 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:05:53.80 ID: yVfKkUwb0





    第1話 「プギャー:上辺」





27 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:07:52.82 ID: yVfKkUwb0
VIP小学校は、マンモスには程遠い、一学年40人程度の地方校だ。
校風は「明るく元気よく」、実際学校のイベントは他校よりも多い、月に二回は何かしら行われる。

そういった環境の助勢もあり、プギャーは学年を越え、学校中の人気者となっていた。

一日に一度は他学年から2年生の教室へやって来る。
同じ学校の小学五年生に兄のモナーがいるので、殆どは一・三・四年のいずれかだが。

  「おい、プギャーってのはどいつだ?」

( ^Д^)「何?」

  「おお、マジだテレビで見た通りだ!」

  「まんまだなww」

( ^Д^)「プギャー」




クラスでいつもお呼びがかかるのは自分。
小学校低学年ではそれだけでも十分に誇らしく、まるでヒーローのような扱いを受けていた。


28 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:09:37.09 ID: yVfKkUwb0
他の学年の人から呼ばれる度に、まるでクラスが自身のためにあるかのように感じた。

何をやってもすごいすごいと、もてはやされた。
教師だって常に彼を持ち上げた。


言うまでも無い、それこそがテレビの力なのだ。
大人ですら子供に媚を売るような真似をする。

プギャーという一人の少年の意見は、さり気なくではあるが、確かに漏らす事無く常に尊重された。


( ^Д^)「プギャー」


そうやって本人は笑っていればいいのだ。

少年自身も気付いていた、自分が大切に扱われている事に。
子供は稀に、大人以上に周りを観察している時がある、純粋な好奇心は何よりも強い。

そして彼は笑っていれば良い事を確信したのだ。
そう、親からも常々そう言われていた。


30 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:11:30.31 ID: yVfKkUwb0
遊ぶ時だって、常に誘われた。
たまにTVカメラが密着する、それが周りは目的だった。

だからプギャーを誘って、いつも遊んでいた。


  「なぁ、明日はどこで遊ぶ?」

( ^Д^)「僕の家来る?」

ある時ふいにそんな事を言ったが、誰一人と芳しい顔はしなかった。

テレビに映れるチャンスだろ。
実際には言わなかったがそういった気遣いがプギャーにはあったのだが。


遊ぶ時も挨拶よりも早く必ず聞かれた、「今日もテレビカメラは無いのか」、と。


テレビカメラなくして自分は期待されていないのだ。
悲しいながらもその事実を認めるしかなかった。

だから遊ぶ時は、テレビカメラに出来る限り一緒に来て欲しいといつも意見している。
大人たちは威勢の良い返事ばかりで、滅多に言葉どおり彼を密着してくれなどしないが。


31 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:13:19.70 ID: yVfKkUwb0
( ^Д^)「嫌なの?」

家で直接テレビに映れるチャンスを提案したのにどうして皆が渋るのかが分からなかったのだ。

プギャーを誘うのはテレビが目的なんだ。
だったら確実にテレビのある家に来ればいいだろう、当然の意見だった。

しかし、彼には分からぬ葛藤が皆にはあるようだった。


  「いや、家でずっとカメラで見られるのもな……
  それに、プギャーの家ってあのおっかないカーチャンが居るだろ?
  俺やだーいち抜けたー」

  「俺もー」

  「はい、残りはお前だけー、お前一人で言って来いよー」

  「ええ、僕もヤダよ」

( ^Д^)「プギャー」


子供は自分が主体の時には周りに目配りなんてしない。
プギャーだどれだけ傷ついていようと、どれだけ苦しかろうと関係ない。
子供は無邪気に他人を傷つけていく。


33 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:15:07.64 ID: yVfKkUwb0
しかし一転、子供は受動となった時には大人の想像を遥かに超える気配りがある。
何気ない大人の言動一つ一つまで、数年後まで脳裏に焼き付けられる。
だからこそ、プギャーは常に笑っているのだ。

ξ ゚⊿゚)ξ「プギャー、まだアンタは小さいんだから世間体なんて気にしなくてもいいわよ。
  その代わり、常に笑って、周りを気にしないくらいはしゃぎなさい。
  毎日何か起こらないといけないし、元気のいい子供はテレビ映りもいいだろうし」

だからだ。




  「なぁ、ずっと思ってたんだけどさ」

( ^Д^)「ん?」

  「お前ってテレビと一緒だよな、なんかテレビ見ているみたい。
  一人別の場所いるみたいで、なんていうか楽しくない。
  口数少なくてさ、すげー警戒されてる感じ」

  「あるある、なんか相手の反応をすごくみてるよな」


( ^Д^)


34 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:16:54.20 ID: yVfKkUwb0





ξ ゚⊿゚)ξ「プギャー、まだアンタは小さいんだから世間体なんて気にしなくてもいいわよ。
  その代わり、常に笑って、周りを気にしないくらいはしゃぎなさい。
  毎日何か起こらないといけないし、元気のいい子供はテレビ映りもいいだろうし」










35 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:18:00.08 ID: yVfKkUwb0

( ^Д^)「ただいま」

ξ ゚⊿゚)ξ「ああ、ちょうどいいところに来たわ、プギャー」

( ^Д^)「ん?」

ξ ゚⊿゚)ξ「買い物行きましょう、お菓子買ってあげるわよ」

( ^Д^)「うん、行く」



ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあその辺り回っているから。
  100円くらいのものだからね」

( ^Д^)「うん」



( ^Д^)「……これにする」

ξ ゚⊿゚)ξ「また何だか体に悪そうなお菓子ね……いいけど。
  それじゃ、レジ行きましょ。
  荷物持ち手伝いなさいよ、お菓子買ってあげたんだから」

( ^Д^)「うん」



37 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:19:47.24 ID: yVfKkUwb0

ξ ゚⊿゚)ξ「ただいまー」

( ^Д^)「ただいま」

ξ ゚⊿゚)ξ「ちゃんと靴そろえなさいよ」

( ^Д^)「分かってるよ」


ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあ、ご飯作るからちょっと手伝ってよ」

( ^Д^)「え……」

ξ ゚⊿゚)ξ「え、って何よ、お菓子買ってあげたんだからそれくらいいいでしょ」

( ^Д^)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「なに、いいたい事あるなら言いなさい」

( ^Д^)「……めんどくさい」

ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあ、お菓子返しなさい」

( ^Д^)「……やだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあ手伝いなさい、ほら、机拭いて!」

( ^Д^)「……」


38 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:21:34.09 ID: yVfKkUwb0

ξ ゚⊿゚)ξ「みんな揃ったわね、今日はお父さん遅くなるみたいだから先に食べましょうか」

ξ ゚⊿゚)ξ( ^Д^)( ´∀`)川 ゚ -゚)(,,゚Д゚)「いただきまーす」


( ^Д^)「……」

( ´∀`)「……」

(,,゚Д゚)「そういえばさー」

ξ ゚⊿゚)ξ「ギコ、口の中に物入れたまましゃべらない!」

(,,゚Д゚)「おお。……で、そういえば今日英語の授業でさ、予定だと小テストあったんだけど俺忘れててさ。
  そしたら先生もテストを忘れてんのwww」

( ^Д^)「……」

( ´∀`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「ギコ、次はテストがあること忘れないようにしないとね」

(,,゚Д゚)「……ああ」


( ^Д^)「あ、今週の『VIPり』の時間だ!」

(,,゚Д゚)「おお、早くテレビつけろよ!」


40 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:23:17.96 ID: yVfKkUwb0



( ´∀`)「あははー、やっぱり今週もモナが一番初めにアップで映るモナ」

( ^Д^)「チビ兄ばっかずるい、いっつも初めじゃん!
  ぼくもアップで面白い顔しているんだけどなー」

( ´∀`)「もう僕がマスコットモナ」

(,,゚Д゚)「んだよ、『俺とオマエが喧嘩』って事は、お前の泣き顔が映るって事だぜ」

( ^Д^)「プギャー」

( ´∀`)「しっとはみにくいモナ」

(#゚Д゚)「んだと?」

ξ#゚⊿゚)ξ「はいはい、あんた達食事は静かに食べなさい、何度言えば分かるの!」

( ^ω^)「まったく、静かに食べれないのかお」

(,,゚Д゚)( ´∀`)( ^Д^)「はーい……」


川 ゚ -゚)「……ほら、こぼすなよ」

(*ノωノ)「あぷー!」


42 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:25:01.80 ID: yVfKkUwb0

( ^Д^)「プギャー」

(,,゚Д゚)「んだよ、おい!」

ξ ゚⊿゚)ξ「こらこらアンタ達、何喧嘩してんの!」

(,,゚Д゚)「なんでプギャーだけお菓子買ってもらってんだよ!」

ξ ゚⊿゚)ξ「お兄ちゃんでしょ、弟と喧嘩しない!
  プギャーもプギャーよ、お菓子は皆で分けなさい、あたりまえでしょう?」

( ^Д^)「でも……」

ξ ゚⊿゚)ξ「でもじゃないわよ、当たり前じゃないそういう気遣いは。
  あんた達もモナーやクーみたいに手がかからないと助かるんだけどねぇ……」

(,,゚Д゚)「だって、コイツ自分だけお菓子持ってるからって『ぷぎゃー』だなんて笑うんだぜ?
  そりゃ怒るよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「この子は何にも考えていないからね。
  笑ってればいいだなんて思っているのよ、他人を思いやる事も出来ずに。
  本当人をバカにするばっかりでこの子は」


( ^Д^)「……うそつき」

ξ ゚⊿゚)ξ「え? なんだって?」


44 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:26:05.97 ID: yVfKkUwb0





(#^Д^)「うそつき、カーチャンのうそつきッ!!」










45 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:27:10.05 ID: yVfKkUwb0





    第2話 「モナー:馬鹿」





47 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:28:54.72 ID: yVfKkUwb0
総人数が然程多くないために、学校には学年ごとに一クラスしか存在しない。
彼はもともとクラスの盛り上げ役的存在であり、ムードメーカーだった。

月に二回はある数々の学校行事を、常に中心の一人となって躍起に頑張っていた。
だからこそ友達も人一倍多い、信頼も厚い。


( ´∀`)「えっと、それで今週末のイベントの『球技大会』だけど、あと3人足りないモナ」


  「モナー、お前がやれば後二人だぜ?」


( ´∀`)「うん、僕はやるモナ、だから後二人でいいモナ」


クラス代表も推薦で選ばれ、回りへの気遣いも十分。


いつから、どうしてこうなってしまったんだろうか。
彼以外が答えを知っているわけが無い。


( ´∀`)「それじゃ、今回の話し合いはこれで終わりにするモナ」


48 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:30:39.73 ID: yVfKkUwb0
  「モナー、ご苦労様ー」

彼を冗談交じりに肩や頭をポカポカと叩く。
どうしてこうも遠慮を知らない人間が多いのだろうと考えるも、彼は悪態をつくことなど無い。

本来は違った。

もともとからムードメーカーだった、しかしもっと方向性が違った。

小学生らしく、軽く叩かれたら叩き返して。
嫌だったら止めろよと言って腕を払いのけて。
厄介事があったら友達と押し付け合いながら、笑って、結局供に痛みわけになって。

クラス代表なんて器じゃなかった。
むしろクラス代表のお株を奪うくらいはしゃいでいるのが彼だった。


( ´∀`)「ありがとうだモナ」


いつからこんな笑顔が顔に張り付いてしまったのか、彼をこうも堕落させたのか。
どうして何一つと思いの丈を言葉として発せられなくなったのか。


50 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:32:24.36 ID: yVfKkUwb0
別に虐められているわけじゃない、しかし分かる。
周りから自分は良いように使われているということが。
断れない、反抗しないのをいい事に、周りが調子に乗っている事に。

  「なんてったってテレビのマスコットキャラだしなwww」

  「ぽっちゃりがキモ可愛いってwwww」

( ´∀`)「キモは余計だモナ」

  「はは、そんな所がキモ可愛いー」


今からでは到底想像できないだろうが、彼らはもともと対等に遊んでいた。
文句も言えば、嫌だったなら気兼ねなくそれを表情に出していた。


変わったのは、モナーがTVに出だしてからだ。

初めの頃は持ち上げてくれていたが、いつからだろうか。
一ヶ月もすればあからさまな線引きが存在していた。

嫉妬だろう、そして何よりもモナー自身が変わってしまった事がいけないかった。


51 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:34:07.03 ID: yVfKkUwb0
子供は正直だ。
反抗しながらもどこかで大人というものを敬い、大人に憧れる傾向がある。
自分も一人前になりたいという意識の現われだろう。

ξ ゚⊿゚)ξ「問題は絶対に起こしちゃ駄目だからね、家は当然、学校でも。
  他人を思い遣って、友達にバカとかそういった言葉を絶対に言っちゃいけないから。
  そんな言葉使ったら、もう暮らしていけなくなるんだからね」

子供でも、追い詰められれば想像以上に素直になるものだ、それは彼自身が証明していた。
それまでのはっちゃけた様子から劇的な変貌を遂げた。

彼は、家庭の暮らしのために、他人の悪口一つ漏らさずに常に余所行きの人間を作り上げていた。


それが気に食わなかったんだろう。

今までのように接しなくなった、TVの中の存在に成り下がった彼を、友達たちは許せなかったんだろう。

いきなりいい子ちゃんになった彼へ、友達は線引きしたのだろう。


  「モナーってさ、なんていうか人形みたいだよな」

  「わかる、何考えているか分からなくてなんか不気味だわ、かかわり難い」


( ´∀`)


53 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:35:16.97 ID: yVfKkUwb0





ξ ゚⊿゚)ξ「問題は絶対に起こしちゃ駄目だからね、家は当然、学校でも。
  他人を思い遣って、友達にバカとかそういった言葉を絶対に言っちゃいけないから。
  そんな言葉使ったら、もう暮らしていけなくなるんだからね」










54 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:36:25.11 ID: yVfKkUwb0

川 ゚ -゚)「母さん、そう言えばテストが帰ってきたんだ」

( ´∀`)「あ、僕もモナ」

ξ ゚⊿゚)ξ「二人は偉いわね、他と違ってテストも隠さないし、賢いし」

川 ゚ -゚)「そうでもないが」

( ´∀`)「ありがとうだモナ、うれしいモナ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほら、クーも正直に喜びなさい」

川 ゚ -゚)「これでも喜んでいるんだ」



ξ ゚⊿゚)ξ「どれどれ……あら、クーは92点、いいじゃないの」

川 ゚ -゚)「ああ、クラスでも上位だ」

ξ ゚⊿゚)ξ「それで、モナーは85点か……ちゃんと見直ししたの?
  こことかケアレスミスじゃない?」

( ´∀`)「でも、姉ちゃんと変わらないくらいだモナ」

ξ ゚⊿゚)ξ「あのねぇ、バカみたいに中学校と小学校を普通に比べちゃ駄目よ」


57 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:38:10.51 ID: yVfKkUwb0

( ´∀`)「カーチャン、テストの見直し終わったモナ」

ξ ゚⊿゚)ξ「あらそう、ちょうど良かったわ。
  トイレ行って来るからその間お鍋見ててくれない」

( ´∀`)「分かったモナ」



ξ ゚⊿゚)ξ「お待たせ、大丈夫だった?」

( ´∀`)「特に何も無かったモナ」

ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあ、私がもうお鍋見るから、机拭いて食器並べておいて」

( ´∀`)「……。分かったモナ」

ξ ゚⊿゚)ξ「いいわね、モナーは文句一つ言わなくて。助かるわ」

( ´∀`)「別に文句も無いモナ」

ξ ゚⊿゚)ξ「そういってもらえると嬉しいわ、ついでに洗い物も頼んでいい?」

( ´∀`)「うん、分かったモナ」



63 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:39:54.33 ID: yVfKkUwb0

( ^ω^)「ただいまー」

(,,゚Д゚)「あ、来た来た、早くご飯にしよーぜ!」

( ^ω^)「おお、待っててくれたのか助かるお」



ξ ゚⊿゚)ξ( ^ω^)( ^Д^)(,,゚Д゚)川 ゚ -゚)( ^Д^)「いただきまーす」

( ^ω^)「今日は肉じゃがが美味そうだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「ジャガイモはモナーが切ったのよ」

( ^ω^)「ああ、だからちょっといびつなのかおww」

ξ ゚⊿゚)ξ「今度からも切るのは積極的に手伝わせるわ。
  大丈夫、すぐに上達するんだから」

( ´∀`)「……うん」



川 ゚ -゚)「……ほら、こぼすなよ」

(*ノωノ)「あぷー!」



65 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:42:04.40 ID: yVfKkUwb0

ξ ゚⊿゚)ξ「そう言えば今日はクーとモナーがテスト持ってきたわよ。
  相変わらずクーはいい点数、モナーは今回はダメだったわ」

( ^ω^)「まぁいいお、そんな日もあるお」

ξ ゚⊿゚)ξ「まぁねぇ……そう言えばギコ、昨日言っていた英語のテスト、今日あったんでしょう?」

(,,゚Д゚)「お、おう……ぼちぼち出来たぜ? 週末に返却だってさ」

ξ ゚⊿゚)ξ「まったく、アンタのぼちぼちはアテにならないわ」

(,,゚Д゚)「半分くらいかな」

ξ ゚⊿゚)ξ「このバカ、全然ダメじゃないの。
  モナーもこの春までは何にも出来ないバカだったけど、頑張ったらここまで出来るんだから。
  アンタももっと頑張りなさい」

(,,゚Д゚)「中学校のテストと小学校のテスト一緒にされてもな……」

ξ ゚⊿゚)ξ「一緒に決まってるでしょ、テストなんだから。ほんとアンタどうしようもないバカね」

(,,゚Д゚)「英語なんて人生に必要ねーよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「クーも何か言ってやりなさい」

川 ゚ -゚)「別に」

ξ ゚⊿゚)ξ「はぁ、本当アンタもモナー見習いなさいよ、いっつも笑顔で喜んで手伝ってくれるのに」



68 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:43:52.42 ID: yVfKkUwb0
ξ ゚⊿゚)ξ「ねぇモナー、洗濯物干すの手伝って」

( ´∀`)「いいモナよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「本当母さん助かるわ、皆アンタ位聞き分け言いといいんだけどね。
  他人も思いやれないバカなんだから」

( ´∀`)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「人が嫌がることをそうやって喜んでやれるのは大事だから。そう言えばモナー、明日暇?」

( ´∀`)「明日は友達と遊ぶモナ」

ξ ゚⊿゚)ξ「それは明後日に変えて、ちょっと明日は付き合って。
  明日は婦人会でちょっと出なきゃいけない――」


(#´∀`)「いやモナッ!!」

ξ ゚⊿゚)ξ「は? 何言ってんのアンタ、バカじゃなんだから。
  別に遊ぶななんていってないでしょ、日付を変えろって言ってるだk」

(#´∀`)「笑っていたら他人から使われていっつも損するばっかりだモナ!
  勝手に喜ぶとか楽しんでいるとか、別にやりたくてハイハイ言っているんじゃないモナ!
  他人を思い遣れないのは誰でもないカーチャンだモナ!」

ξ ゚⊿゚)ξ「何言ってるのモナー、分かってるから、そんなバカみたいな事言わずちょっと落ち着きましょう?」

(#´∀`)「文句も言えずに使われるばっかりはもう嫌だモナ、辛いモナ!
  それで人をいつもバカにしているのは他でもない、カーチャンだモナ!」


71 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:45:17.21 ID: yVfKkUwb0





(#´∀`)「カーチャンの、うそつき!」










74 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:46:23.09 ID: yVfKkUwb0





    第3話 「クー:感情」





79 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:48:06.19 ID: yVfKkUwb0
女とは集団的な生き物である。
行動一つとっても男からすれば違和感のあるものが多いだろう。
どうして何から何までそうも集団的に動くのかと。

そして一人は常に敵対される運命にある。
それはお嬢様学園として有名なこの中学でも例から漏れる事は無いようだ。


川 ゚ -゚)「……」


誤謬の無いように言うのであれば、クーも元々は集団の一人だった。
供に笑い、供に楽しみ、時には供に泣き、文句をたれていた。


この4月、彼女がTVに映ってからその均衡が破られた。

一般人の中で、クーは『一人』著名人となってしまったのだ。


川 ゚ -゚)「……」

どうして周囲はそんなにありありと、嫌悪を表情に出すのだろう。
そう思っていた彼女は、他人と接する度にさぞ嫌悪な表情をしていた事だろう。
一週間もあれば完全に孤立するのには十分だった。

決して理由はそれだけでもないが。


83 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:49:49.12 ID: yVfKkUwb0
女というのはプライバシーを重んじる、それにどれだけの価値があろうと無かろうと。
相手のちょっと恥辱な出来事を話題にでも出せば、
それが大昔の事だろうが関係なく、交友関係に簡単に亀裂を入れられる。

思春期の周囲は、その下らない自尊心のために彼女を避けざるを得なかった。
プライバシーとプライド、彼女をのけ者にするには十分な理由だった。
プライバシーもプライドも無い彼女を除ける理由には。


  「えー、それではこの問題を、クー」

川 ゚ -゚)「はい、x=2です」

  「そうだな、座っていいぞ」


今から思えば彼女自身もいけなかったのだろう。

プライバシーの無い家庭があまりに辛く、嫌な顔して褒めてくれる周囲へ、心からの愚痴を口にしていた。
自慢話を忌避する人は多いだろうが、万人にとってそれ以上嫌悪されるもの、不遇自慢。
謙遜する余裕もなく、嫌々ながらも褒めてくれる仲間に延々とそれを吐露し続けた。

その醜悪な行為に、プライドなど微塵と無い。
亀裂を走らせるには十分だった。


  「えー、それでは今日の授業はここまでだ。
  各自予習等しっかりとしておくように」


87 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:51:32.30 ID: yVfKkUwb0
彼女が自分の迂闊さに気付いた時には手遅れだ、周りとは修復不可能なほどの亀裂が走っていた。

女の構造とは実によく出来ている。

仲間外れを作る時は一人で決して行わず、まず友達に言うのだ。
集団的だからこそ、言われた相手は従うしかない、反対意見など出しようもない。
出したなら標的がその者に変わるのだから。


結果、おのずと『一人』が省かれる。


  「ねぇ、帰りに商店街行かない?」

  「行く行く、あまりお金持ってないけどw」


川 ゚ -゚)「……」


表情も関わり合いも消えたのは、この春の話だった。

数少ない友達もその表情が痛々しかったので切り捨てた。
嫌々付き合ってもらう必要など無い、そこまで自分は落ちぶれていない、時に親切は虐め以上に人を傷つける。
直接イジメ等を受けているわけではないが、必要以上に周りとも干渉もしない。

無口で無表情、TVでそういうキャラクタ付けをされてからというもの余計だ。
義務感や圧迫で、もう小さく笑みを浮かべる事も出来なくなってしまった。
不用意に言葉一つ発する事ですら、自分が壊れてしまうようで憚られた。


89 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:53:15.64 ID: yVfKkUwb0
今では「無表情」や「無感情」と言われる度に嬉しさすら感じてしまう。
ちゃんとキャラクタを準えれていたんだ、と。

そしてその後、どうしようもないほどの悲壮感に彼女は押しつぶされるのだ。
もっともそれも無表情の彼女、誰一人と気付く事は無いのだが。



彼女は無表情であっても無感情ではない。

皆のように笑いあって、もっと感情を表したい。

楽しく遊びたい。


誰にもその望みは通じない。

それは、彼女自身がそれを露にしないのだから当然だ。


92 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:55:01.36 ID: yVfKkUwb0
家にカメラを設置すると聞かされ、当然のように反対したのは誰でもない、クーだった。
既に確定事項となっていたのだろう、理由にもならない言い訳をグダグダと並べられた挙句に、
母親は彼女にこう言ったのだ。

ξ ゚⊿゚)ξ「女の子だから色々と思うこともあるだろうけれど、気にしちゃいけないわよ。
  ちょっとぐらいじゃ動じないくらい図太くならなきゃ。
  神経質じゃ疲れるだけよ、感情を隠せるくらいじゃないと」

こうするしかなかったのだ。

常に見張られている状態で心から笑えなどしない、怒れなど出来やしない。
思春期という感情豊かな今、その感情を消し去らなければこの家にはいられないのだ。

そうするのが最善だと母から教えられていたし、何よりも友達と遊んでいては無感情になんてなれやしない。


楽しさは、最も隠し難い感情なのだ。
悲しさより辛さより何より、楽しさが一番隠しだなんてできっこない。

殊更不器用な彼女だ、仲間を切ってその要因を直接つぶす事しか出来なかった。
もっとも、楽しさを隠す人間など、誰一人と好き好んで寄ってきてくるわけも無いが。


川 ゚ -゚)



94 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:56:25.47 ID: yVfKkUwb0





ξ ゚⊿゚)ξ「女の子だから色々と思うこともあるだろうけれど、気にしちゃいけないわよ。
  ちょっとぐらいじゃ動じないくらい図太くならなきゃ。
  神経質じゃ疲れるだけよ、感情を隠せるくらいじゃないと」










97 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 20:58:31.89 ID: yVfKkUwb0

ξ ゚⊿゚)ξ「クー、明日は婦人会でいなくなるからアプーの世話頼んだわよ?」

川 ゚ -゚)「ああ、特に問題ない」

ξ ゚⊿゚)ξ「あんたいっつも休みの日も家にいてくれて助かるわ。
  女の子だからちゃんと面倒みないといけないわよね。
  アプー可愛がってるし、それじゃよろしくね」

川 ゚ -゚)「ああ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ついでに掃除と洗濯お願い、私夜まで帰ってこないから。
  一日暇でしょ?」

川 ゚ -゚)「分かった」

ξ ゚⊿゚)ξ「聞き分けよくて助かるわ、じゃあよろしくね」

川 ゚ -゚)「うむ」



川 ゚ -゚)「アプー、今日はママ来ないけど、静かにな」

(*ノωノ)「あぷー」


101 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:00:12.73 ID: yVfKkUwb0

(,,゚Д゚)「おーい、飯まだかよー?」

川 ゚ -゚)「今日は婦人会だだったか……お金は預かっている。
  夕食の買い物に行って来るから静かに待っていてくれ。
  後、アプーの世話を頼んだ」

(,,゚Д゚)「分かったぞゴルァ」

川 ゚ -゚)「モナーもついてきてくれ」

( ´∀`)「分かったモナ」



川 ゚ -゚)「焼きそばと、お寿司と……あと、サラダも必要だな」

( ´∀`)「ウインナー食べたいモナ」

川 ゚ -゚)「ウインナーくらいなら私でも調理できるな」


川 ゚ -゚)「……思ったよりも高いな、ミートボールで勘弁してくれ」

( ´∀`)「こればっかりは仕方ないモナ、全然構わないモナ」


104 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:01:55.22 ID: yVfKkUwb0

(*ノωノ)「あぷーッ、あぷーッ!!」

(,,゚Д゚)「うるせぇな……」

川 ゚ -゚)「どうしてアプーが泣いているんだ、アニキよ」

(;゚Д゚)「だってよ、俺がテレビ見ているのに遊べってうるさいから無視してたら……」

川 ゚ -゚)「面倒を頼んだだろう、アプーに許してもらうまで食事はお預けだ」

(;-Д-)「おおぅ……悪かったよ、アプー」

(*ノωノ)「あぷーッ!」

川 ゚ -゚)「なー、許してあげないもんなー」

(;-Д-)「そこを何とかお願いします……」



( ^ω^)「ただいまー」

川 ゚ -゚)「お、それでは食事にしようか。
  チンしてくるから、ちょっとだけ待っていてくれ」

(*ノωノ)「あぷ」

(;-Д-)「アプー様どうか私めをお許し下さい……」


107 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:03:42.53 ID: yVfKkUwb0

川 ゚ -゚)「はい、あーんして」

(*ノωノ)「あぷー」

川 ゚ -゚)「おいしいか? 良かった」

( ^ω^)「クーは本当にアプーが好きだお」

川 ゚ -゚)「ああ」

( ^ω^)「遊ぶ事より何よりもアプーを見てくれて、本当に面倒見のいい子だお。
  父親として嬉しいお」

川 ゚ -゚)「好きでやっているんだ、遊ぶ事よりもよっぽど楽しいよ。
  アプーは可愛いし」

(,,゚Д゚)「俺らには厳しいのになー」

川 ゚ -゚)「兄ちゃんと比べられたら嫌だよねー」

(*ノωノ)「あぷ!」

(,,゚Д゚)「まったく……クーはアプーに優しすぎるんだよ。
  しかしカーチャンいなくても何とかなるもんだな、これから頼んだわ、クー」

川 ゚ -゚)「だが断る」



109 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:05:26.76 ID: yVfKkUwb0

ξ ゚⊿゚)ξ「あんた、明日遊びに行きなさいよ」

川 ゚ -゚)「どうしてだ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「毎日何か出来事が必要でしょ? アンタいつも家にいるじゃない?
  テレビカメラと一緒に行けば、それだけで出来事になるからね、お願いするわ」

川 ゚ -゚)「いや、家にいる」

ξ ゚⊿゚)ξ「あんたねぇ、年頃の女の子が何言っているのよ、それくらいの子はいつも遊びに行くものよ?
  それが毎日家の中って……どうしてアンタはそうなのでしょうかねぇ?」

川 ゚ -゚)「放っておいてくれ、遊ぶ友達が一人といないんだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「そりゃそうに決まっているわよ、それだけ無愛想なら付き合えって言うほうが無理だわ。
  この際だから言わせて貰うけれど、あんたもうちょっと自分を出したらどう?
  家族でも正直困るわよ、その歳で遊ぶ相手がいないなんて悲しくない?」

川 ゚ -゚)「それならば私からも言わせて貰う。
  悲しいに決まっている、もっと感情を出したいに決まっている。
  アプーの面倒だって嫌じゃないが、私だってもっと他の事で楽しみたいと思っている」

ξ ゚⊿゚)ξ「何それ、あっきれた……じゃあ感情を出せばいいじゃないのよ、煩わしい」

川#゚ -゚)「……だったら今出す、もうウンザリだ、もう嫌だッ!
  私は無表情かもしれないが無感情じゃない、悔しいし怒りだってある!
  アプーは常に家にいる……いつも家にいることしか出来ない私の時間つぶしなんだ!
  分かってくれなくてもいい、もうアンタなんて信用しない、いい加減にしてくれ!」


111 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:06:30.30 ID: yVfKkUwb0





川#゚ -゚)「この嘘つき!」










114 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:07:32.67 ID: yVfKkUwb0





    第4話 「ギコ:意地」





122 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:09:41.26 ID: yVfKkUwb0
ギコは当然頭脳明晰ではないが、随分と背伸びしたそこそこ有名な中学へと入学を決めることができた。
一番後ろからのスタートと言ってもいい、毎度のテストでは頑張って赤点を免れるくらいがギリギリだった。
元々勉強は好きではない、合格を聞いた教師が腰を抜かしたくらいだ。

それでも彼は持ち前の人当たりの良さとリーダーシップで、人望はとても厚かった。


  「ギコ、放課後B組の奴らとサッカーしね?」

(,,゚Д゚)「おう、ボコボコにしてやんぞゴルァ!」


親友は多く、勉強も沢山の協力者がいた。

ちゃっかりと彼女まで作って、学生らしい歳相応の楽しさを満喫していた。


(*゚ー゚)「次の日曜日、ね?」

(,,゚Д゚)「おう、約束だぞ!」


4月、彼に変化が起きることで、やはりそれらは崩れるのだが。


126 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:11:25.02 ID: yVfKkUwb0
誰よりも本人が分かっただろう、その微妙な距離を。
それまでと変わらないように彼自身は努めた。
一緒にバカやって、運動も供に楽しもうと必死だった。


なのに誰も彼に文句を言わなくなったのだ。


彼が何を言っても笑ってくれた。

勉強も嫌な顔をせずに教えてくれた。

サッカーではボールを持ったら誰も取りに来ない。


小学生ならまだしも、良識が出来始める中学生なら分かる、特にその学校がなまじっか賢いからこそ。
なまじ賢いからこそ、そういった極端な対応としか現れなかったのだ。


誰よりもギコ自身が気付いていた、自分の特異性に。

どれだけ自分が今まで通り振舞おうと、無駄であることに。


129 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:13:12.29 ID: yVfKkUwb0
今まで通り振舞おうとする自分、無理して合わせてくれる相手。

ただただ苦痛だった。
どうして友達と気を使いながら話をしなくてはならないのだ。
これは本当の友達ではないのではないか。

疑心暗鬼となった。
彼は何を信じればいいのかも分からず、自分を見失った。

まるで友達たちが、自分に気を使って遊んでくれている、そんな錯覚に陥ったのだ。


(,,゚Д゚)「なぁ、今度の休みさ……」

(*゚ー゚)「ゴメン、テレビ来るかもしれないんだよね……」

(,,゚Д゚)「うん、嫌だよな、仕方ないよ」


本当に好きならそんなこと関係ないのでは?
これは本当の愛じゃないのではないだろうか。

妹のクーは毎日そんな中で生活しているというのに、
ギコには何がそうも彼女を引き止めているのかが理解出来なかった。
あくまでクーが異端であるだけなのだが、それでも彼自身彼女の言動が腑に落ちなかった。


そして疑心は火を見るよりも明らかに、彼らの関係を蝕んでいった。


131 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:14:59.64 ID: yVfKkUwb0
(*;ー;)「ゴメンなさい、別れて」

(;゚Д゚)「どうしてだよ、納得できねーって!」

(*;ー;)「私も嫌だよ、でも、ギコ君いつも私の反応を伺いながらしか話してくれないもん。
  それで私が反応すると、『やっぱりか』って眉間に皺よせるの……
  私いつも頑張っているけど、絶対にギコ君、笑ってくれないんだもん」


世の中に感情を完璧に隠せる人間がどれほどいるとして。
目は口ほどにものを言うというが正にその通りだった。
口以上に、彼の目は彼女を追い詰めていたんだ。

説得の甲斐空しく、一年ほど続いた関係は崩れ去った。


他人の監視ばかりの家、他人と距離の離れた学校。

彼の落ち着ける場所などどこにもなかった。


この憤りをどこに向ければいいのか分からなかった。


何に責任転嫁すればいいのかすら分からなかった。


136 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:16:45.27 ID: yVfKkUwb0
ξ ゚⊿゚)ξ「アンタは長男だから、他の4人のお手本となるようにしっかりとしてもらわないとね。
  勉強もこれまで以上に頑張って、子供たちの世話をして手伝いもして。
  今までみたいに遊んでばっかりじゃいけないんだから、分かるでしょ?」


親の言いつけなど何一つと守らなかった。
他の兄弟がはいはいと従う中、初めから守る気などありはしなかった。

テレビには元から反対していた。
いい体風を装えという言葉を無視し、できる限り今まで通りなんら変わらずに振舞った。


その顛末がこれだ。

今まで通り振舞っているだけ、何も変わっていない筈なのに家の中はピリピリとし、
今まで通り同じ事をしているだけなのに怒られる回数はどんと増えた。


周りだけが勝手に変わっていき、彼だけが取り残されたのだ。


この憤りをどこに向ければいいのか分からなかった。


何に責任転嫁すればいいのかすら分からなかった。


139 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:18:04.36 ID: yVfKkUwb0





ξ ゚⊿゚)ξ「アンタは長男だから、他の4人のお手本となるようにしっかりとしてもらわないとね。
  勉強もこれまで以上に頑張って、子供たちの世話をして手伝いもして。
  今までみたいに遊んでばっかりじゃいけないんだから、分かるでしょ?」










142 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:20:10.76 ID: yVfKkUwb0

ξ ゚⊿゚)ξ「ギコ、そういえばテストは? 返ってきたんでしょ?」

(,,゚Д゚)「ほい」

ξ ゚⊿゚)ξ「『ほい』じゃないわよ、何この点数?
  直前にちょっと勉強してももっと取れるわよ」

(,,゚Д゚)「直前にちょっと勉強したんだけどな」

ξ ゚⊿゚)ξ「それはアンタが馬鹿なだけでしょ、だったら事前にちゃんと勉強しなさい」

(,,゚Д゚)「はいはい」

ξ ゚⊿゚)ξ「……何その返事?」

(,,゚Д゚)「分かってるよ、ごめんなさい」

ξ ゚⊿゚)ξ「はいはい。
  いっつも決まって言葉だけ、もう流石に聞き飽きたわよ」

(,,゚Д゚)「……」


146 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:22:39.37 ID: yVfKkUwb0

( ;∀;)「うわーん!」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっとちょっと、何よ!」


ξ ゚⊿゚)ξ「ギコ、またアンタ?」

(,,゚Д゚)「別に喧嘩なんて珍しくないだろ」

ξ ゚⊿゚)ξ「珍しい珍しくないじゃ無いわよバカ。
  お兄ちゃんでしょ、何でそうやって弟に当たるかな?」

(,,゚Д゚)「でもコイツが……」

ξ ゚⊿゚)ξ「でもじゃない、謝りなさい!」

(,,゚Д゚)「別に俺悪くないもん」

ξ ゚⊿゚)ξ「お兄ちゃんでしょ、何強情はってんの? 謝りなさい」

(,,゚Д゚)「……ごめん」

ξ ゚⊿゚)ξ「はいはい、これで良かったわね、仲直り」


154 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:24:29.68 ID: yVfKkUwb0

ξ#゚⊿゚)ξ「ギコー!」

(,,゚Д゚)「何だよ帰ってくるなり……」

ξ#゚⊿゚)ξ「私が留守している間に、何よこの部屋の散らかり様は!」

(,,゚Д゚)「このゴミとかは俺だけど、他は知らね」

ξ#゚⊿゚)ξ「知らねじゃないでしょ、何でお兄ちゃんとしてちゃんと下を見ないの!?
  何であんたまで一緒になって散らかしてんのよ!」

(,,゚Д゚)「別に今までも良くある事じゃん、テレビが来てから少ないけど……」

ξ#゚⊿゚)ξ「テレビは関係ないでしょ! 何でそうやってすぐ他人のせいにするのアンタは!?」

(,,゚Д゚)「だって俺のせいじゃないし」

ξ ゚⊿゚)ξ「……いいわ、とりあえずここ片付けるまで食事はあんたには与えません。
  当然一人でよ、分かったわね」

(,,゚Д゚)「……はい」


158 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:26:17.49 ID: yVfKkUwb0



(,,゚Д゚)「……カーチャン、どうかしたのか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……別に」

(,,゚Д゚)「あ、そう」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」



ξ ゚⊿゚)ξ「アンタ以外に怒鳴られたのよ、うそつきだって」

(,,゚Д゚)「ふーん」

ξ ゚⊿゚)ξ「どうして家族のためを思ってやっているのに、こうやって悪者扱いなのかしら。
  本当嫌になってくるわ」

(,,゚Д゚)「実際嘘ついたんだろ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ついてないわよ、心当たりも無い!」

(,,゚Д゚)「カーチャン変わったよな」

ξ ゚⊿゚)ξ「変わりもするわよ」

(,,゚Д゚)「多分、俺も含めてみんな、変わる前のカーチャンのほうが好きだったんだと思う」


162 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:28:06.14 ID: yVfKkUwb0
ξ#゚⊿゚)ξ「今の私が嫌って言うの? アンタたちのために頑張って変わらざるをえなかったのに。
  アンタだけね、前から何にも変わらずに一人馬鹿なままなのは……。
  アンタが長男として、一番上としてもっとちゃんとしていればこうもならなかったのに」

(,,゚Д゚)「……」

ξ#゚⊿゚)ξ「他の子達は頑張っていたのに、アンタが全部それを無駄にしたのよ。
  私の言いつけも守らずに一人勝手に突っ走って、それでこんなに他の子たちが苦しんだのよ!
  アンタのせいで、私もこうまで言われなくちゃならないのよふざけないで!」

(,,゚Д゚)「……カーチャン、確かに俺は反抗したよ。
  そして言うとおり皆、母ちゃんの言う事を守って変わったよ」

ξ#゚⊿゚)ξ「そうだよ、あんた一人が全てをめちゃくちゃにしたんだ、もっと……」

(,,゚Д゚)「でも」

ξ#゚⊿゚)ξ「……!」

(,,゚Д゚)「でもね、一番変わったのは他の誰でもない、やっぱりカーチャンだよ。
  こうやって家庭を壊していっているのもカーチャンだよ。
  そして俺は、そんなカーチャンは大ッ嫌いだ」

ξ#゚⊿゚)ξ「!!」

(#゚Д゚)「今のカーチャンなんて、いらない!」


168 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:29:34.50 ID: yVfKkUwb0





(#゚Д゚)「最ッ低の家庭だよ、ここは」










174 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:30:39.72 ID: yVfKkUwb0





    第5話 「ツン:後悔」





180 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:32:05.69 ID: yVfKkUwb0
彼女は高校を卒業し、就職した先は大手チェーン店のスーパーだった。

最終学歴は高卒だが、確固たる意思を持っている理知的な彼女の事だ、すぐにも支店を任されるにまで上りつめた。
勉強して学べる事など大した事ではない、経験こそが至極の知識とは彼女の持論だ。

支店を任されるまでになると、彼女は落胆した。
自分とろくに意見も交わそうとしない従業員、言われた事しか出来ない駒。
出身大学ばかりをステータスにかかげるくせに、結局の尻拭いは全て彼女だ。


『経験』を積み重ねた彼女にとって、それらのなんともどかしい事か。


そして意識は仕事から遠のき、新しい『経験』を欲した。
高校時代の仲間に誘われた合コンに参加したのも、それが目的だった。


ξ ゚⊿゚)ξ「はじめまして、ツンって言います!」


( ^ω^)


そこで彼女達は出会ったのだ。


183 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:33:41.05 ID: yVfKkUwb0
合コンとはいかに自分を売るかなのだろう、それぞれが出身大学や仕事で自己紹介をした。
そして彼女が高校卒だと知ると、畳み掛けるように学歴自慢へと繋がった。

高卒が大学卒を崇高しているとでも勘違いしているのだろう、
彼女にはそれが仕事場の無能な人間を連想させられ、受け入れる事など到底できなかった。
高学歴が格好いいなどと勘違いしているバカは、低学歴人よりも惨めに映った。


( ^ω^)「大学も結局なんにも大したことないお、ツンちゃんの仕事のほうが皆よりすごいお!
  僕も大学出たけど結局三流で、後悔ばかりだおwwww」


彼女には不覚だったのだろう。
男の大学は確かに偏差値的には三流大学ではあるが、スポーツ業界など名は知れ渡っており自慢できることなど枚挙に暇が無い。
だというのにそれよりも彼女の仕事を褒めた。

ただそれだけだったが、彼女が欲していたものもただそれだけだったのだ。


ξ*゚⊿゚)ξ(^ω^*)


なんだかんだでいい感じでそのまま合コンを終え、メールアドレスを交換した。

その日から、毎日のように男の積極的なアプローチがツンへと続いた。


189 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:36:33.46 ID: yVfKkUwb0
世の中不思議なもので、常に好きだといわれるとものすごく安心感を覚えてしまう。
そして気付くと、そのぬるま湯に入り浸ってしまう。
怖い話だ、どんな自分でも受け入れてくれる包容力だなんて勘違いしてしまうのだ。

初めはほとんど相手にしていなかったが、次第に愛着染みたものを覚える。

母性本能を動かされるとはこの事か、どれだけいい男達のアプローチにも屈しなかったが、彼にだけは反応した。
高卒など、ある劣等部分を持ちながらに周りよりも出来る人間とは評価される事に酷く弱い。
まるで彼女が必要とされているように感じ、駄目と知りつつも男の面倒を見続けてしまった。


ξ ゚⊿゚)ξ(もう、私がいないと駄目だから……!
  私くらいしかあの人の面倒見れないからね!)


表面上は酷い事を言いながらも、持ち前の器量の良さで世話をし続けた。
そうすることで彼女自身も安堵感を保つことが出来ていた。



( ^ω^)「結婚しよう」

ξ*゚⊿゚)ξ「べ、別に構わないわよ……そんな経験も必要かなと思うし!」

彼女は言い切れる、今なお彼の何がいいかと聞かれると答えられないと。
顔も良くなければ部屋は汚いし仕事も出来ない、常識も全然知らない。
そんな彼のどこに惹かれたかは知らないが、『彼女でなくてはいけないこと』だったのだ。

仕事を辞めてまでも。


192 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:37:39.29 ID: yVfKkUwb0
子沢山にも恵まれた。

家計は夫の収入だけではやり繰りが出来ず、彼女は内職を始めた。

彼女が仕事で溜めた貯金は、日に日に減っていった。


そして、その日は来た。


(;^ω^)「会社……首になったお」


常々楽天的でマイペースな彼の事だ、そうなるだろうとは予てから想像できていた。
しかしいざその局面に立たされるとどうしようもない、すぐにも仕事を探してもらうしかなかった。
これで彼がまた一歩、成長してくれると信じて。




そして彼が持ってきたモノは、私達を変えた。




196 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:39:17.32 ID: yVfKkUwb0
ξ;゚⊿゚)ξ「私がしっかりしないと、外から見られても恥ずかしくない一家にしないと!
  それぞれ子供たちにしっかりと目指す先を教えないと。
  大丈夫、私には昔の……支店を持っていた時の経験があるんだから!」


子を遊ばせて、しつけして、家事をこなして、内職もして……常にそれらを見張られる立場に立った。


そして彼女はその立場の重さを痛感した。

何かあれば自分のせいにしかならない環境。
頼れる夫は常に就職先を見つけるために外出だ。

たった一人で、常に監視され、常に家族を見る立場に置かれた。


その重圧、ストレスをどれだけ分かろうか。

学校や仕事といった逃げ道の無い、家という檻の中。

外に出れば、カメラ以上の目線が彼女を捕らえてきた。

近所との付き合いもままならない、ツンはずっと一人で戦った。



そして 彼女は 壊れた。




200 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:40:46.22 ID: yVfKkUwb0





ξ;゚⊿゚)ξ「私がしっかりしないと、外から見られても恥ずかしくない一家にしないと!
  それぞれ子供たちにしっかりと目指す先を教えないと。
  大丈夫、私には昔の……支店を持っていた時の経験があるんだから!」










204 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:42:04.73 ID: yVfKkUwb0
( ^ω^)「なんだお、突然話があるだなんてわざわざレストランまで……。
  隣町まで来て……家じゃ出来ないのかお? 今日も職探しで疲れているんだお」

ξ ⊿ )ξ「……今日ね、掃除していたら……クーの部屋でカメラ、見つけたんだ。
  そんな所にカメラ付けるだなんて聞いていないのに、思春期の女の子の部屋に……よ?」

( ^ω^)「それがどうかしたのかお?」

ξ#゚⊿゚)ξ「どうしたって……女の子の部屋よ!? 今年でまだ13の!
  そんな部屋に勝手にカメラだなんて……おかしいでしょ!?」

( ^ω^)「確かに悪い事だお、でもクーならそんなこと気にしないお。
  何よりだからどうするのかお、それをTV局に言ったら僕達はまた明日から収入源を失うお。
  家庭を守るためだお、分かるだろうけどどうしようもないんだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「……私、もう駄目かもしれない」

( ^ω^)「何がだお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……こんな生活無理よ、もう続けられない」

( ^ω^)「うん、分かるお、いいたい事はよく分かるお、でも落ち着くお」

ξ#゚⊿゚)ξ「分からない、アナタなんかには分からない!」

( ^ω^)「ツン、お前だって僕の苦労を分からないお。
  毎日毎日汗水垂らして、30代にもなりながら就職先を探して奔走している自分の苦労をわからないお。
  それでよくそんな事言えるお」

ξ ゚⊿゚)ξ「だって……アナタ、就職なんてする気ないでしょ?」


210 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:43:44.60 ID: yVfKkUwb0
(;^ω^)「何言うんだお、する気なかったらこんなにも毎日頑張ったりしていないお」

ξ ゚⊿゚)ξ「テレビのためでしょ? 私達のためでも何でもない、テレビのためでしょあなたは!?」

(#^ω^)「馬鹿にするなお!」

ξ#゚⊿゚)ξ「アナタこそ私を馬鹿にしないでッ!!」


ξ ;⊿;)ξ「もう私駄目なの、子供を怒らなくちゃって、子供を怒るためにいるみたいで。
  嫌われている自分がいるのも分かっているけど、どうしようもなくて」


ξ ;⊿;)ξ「初めはね、常に怒っていて、私だけが嫌われていればそれでいいんだなんて思ったわ。
  笑い話よね、私が悪者になればそれでいいいだなんてヒロイン気取っていたわ。
  でもいつからか……怒る事こそが私の目的みたいになっていたんだと思う。
  私自身、怒らないと自分を保てなくなったんだと思う」


ξ ;⊿;)ξ「毎日何か出来事を起こさなくちゃいけないでしょ?
  だから私、子供がわるびた事をすると嬉しくてね、精一杯怒るの。
  怒る事で安心してしまう自分がいるの」


ξ ;⊿;)ξ「子供が何もしていなくても、怒らなくちゃいけないの。
  毎日何かイベントを起こさなくちゃいけないからなんて理由つけながら、私の精神を維持するため……」


217 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:45:36.53 ID: yVfKkUwb0
ξ ;⊿;)ξ「しつけをしなくてはいけないから、私は怒り役よ。
  さっきも言ったけど、初めはそれでいいかななんて思っていた、私が嫌われる事で他の家族が幸せなら。
  でもね……私だって本当は子供たちと仲良く笑い合いたいの!


ξ ;⊿;)ξ「家でも外でも監視されて、家の中でもくつろぐ素振りすら出来ずに内職ばかりに手をつけて。
  外に買い物に行けば四方八方から視線が集まって……
  一番安い商品に手を出せないような些細なストレスでも私にはもう辛くて辛くて……」


ξ ;⊿;)ξ「私は最悪な事に、その全てのストレスを……子供たちにぶつけていたの。
  子供たちを怒る事で自分を保っていたの、本当に馬鹿よね」


ξ ;⊿;)ξ「でも、アナタはいつもテレビの事ばかりで私に家庭の事は丸投げして……誰を頼ればいいの私は!?
  そしてこんな親元にいる子供たちは、誰を信じて付いていけばいいの!?」


(;^ω^)「僕だってそれは分かっているお、だから毎週休みには家族で食事へ……」


ξ ;⊿;)ξ「本当にそれで子供たちが楽しんでいると思っているの!?
  カメラから離れられるその時は、家での反省ばっかりじゃない!
  家族揃っての外食を何よりも嫌っている子供が、私達の子供なのよ!?」


224 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:47:06.72 ID: yVfKkUwb0

(;^ω^)「……」

ξ ;⊿;)ξ「私……子供たちに謝りたい、そしてもう一度やり直したい。
  今度はちゃんとした親として、子供たちと共に笑いあいたい。
  これ以上嫌われたくない、最低の親になりたくない」

(;^ω^)「……」

ξ ;⊿;)ξ「子供たちを怒鳴ってでしか安心と安らぎを得られない、最低の親はもう嫌。
  そしてどんどん自己嫌悪に陥って……その発散はやっぱり怒る事で……。
  もう嫌なの、もっと子供たちと面と向かい合いたい、笑いたい……」

(;^ω^)「ツン……」

ξ ;⊿;)ξ「笑うだけでいいの、笑い合いたい……それ以上は何も望まないか。
  どうして名前を呼ぶだけで、子供たちは嫌な顔するの?
  どうして眉間に皺を寄せてでしか私と話してくれないの……辛いよ……
  私は誰のためにこんなに怒鳴って、頑張って耐え忍んでいるの……もう分からない……」


(;^ω^)「……」


230 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:48:53.54 ID: yVfKkUwb0



ξ ;⊿;)ξ「アナタはそうよね、いつも黙ってばっかりで、私に手なんて差し伸べてくれないわよね」

(;^ω^)「……いや、その……」

ξ ;⊿;)ξ「私ね、すごくアナタが羨ましかったの。
  子供たちと仲良くしているアナタが、怒ってしか会話できない私と違って。
  私の気も知らずに何食わぬ顔して子供たちと意気投合できるアナタが羨ましかったの」

(;^ω^)「……」

ξ ;⊿;)ξ「いつも仕事探しだもんね。
  今日だってそう、厄介ごとがあるときは決まって仕事探し終えた後で疲れているもんね。
  だから私が怒って発散するしかなくて、子供たちから嫌われていくのは私だもんね」

(;^ω^)「ツン、それは違うお」

ξ ;⊿;)ξ「違わない!」

(;^ω^)「……」

ξ ;⊿;)ξ「……」

(;^ω^)「……」

ξ ;⊿;)ξ「……ねぇ」


235 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:50:14.25 ID: yVfKkUwb0





ξ ;⊿;)ξ「アナタ……別れましょ」










242 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:51:11.16 ID: yVfKkUwb0





    第6話 「ホライゾン:崩壊」





254 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:53:21.61 ID: yVfKkUwb0
彼の後先考えない向こう見ずな性格は昔からだった。
小学校の頃からとりえも無く、告白しては振られを繰り返していた。

怠慢な彼は己を磨く事や熱くなれるものを何一つと持たず、ただひたすらに夜郎自大に振舞っていた。
お調子者で自分勝手で、友達と呼べる人間は殆どいなかったことだろう。
その証拠に小学校中学校高校と、卒業するたびに全て縁が切れていた。

かろうじてドクオという男がいたくらいだ、それも中高大と一緒だった腐れ縁にすぎないが。
最も彼に聞けば「ドクオは唯一の親友だ」などとのたまうのだろうが、おめでたい事だ。
ドクオが人付き合いの良い人間に過ぎない話だと、いつ気付くのだろうか。


彼が大学に行ったのも、大学で理想の彼女を見つけるためだった。
その証拠に彼は三流大学の文学部に入り、遊び呆けた挙句一年就職浪人した。

肝心の彼女は出来ても一ヶ月ともたなかったが、理由は言うまでも無いだろう。
振られると一週間ほどは落ち込むが、その後すぐに別の女性へ目移りする辺り奔放で彼らしい。


( ^ω^)「なんだ、結局自分と生涯ともになるべき女は大学にもいなかったお」


そうやって全てを片付けられる辺りにも、彼の性格が顕著に現れている。


261 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:55:07.84 ID: yVfKkUwb0
マイペースや能天気という表現が適切なのだろうが、彼はそれ以上に抜けている性格だった。
そのくせ自分勝手に振舞った。

仕事についてもそれは変わらず、職についてから十数年と役職が変わっていないのも頷ける。
発言力はぴか一で、くせに厄介ごとを嫌った。
発言も自分本位なものが多く、気配りなどしない。


ξ ゚⊿゚)ξ


不運にも惹かれあうのは当然かも知れない。
怒られても何一つと反省を覚えない男、自我をもっていて面倒見の良い女。
女としても、気兼ねなく意見を言える相手というものを求めていたのだろう。

何を間違えばその相手にこの男を選ぶのか、そればかりは分からない。

おそらく彼女の面倒見の良さと母性本能の二つで片付けられる問題なのだろう。
支店まで任されるほどやり手の彼女は、最後まで面倒を見なくてはいけない責任意識が強過ぎたのだろう。


もっともこの男を放っておけなくなるのも分からないでもない。
放っておけばどこの馬の骨とも分からぬ女に騙される事間違いないだろう。

心を許し、想いを馳せれば最後だ、彼から目を離せなくなる。
いつでも彼を追ってしまう、彼のことが頭に過ぎる、なんと歪んだ恋愛事情か。
自分を心より好いてくれるのであれば殊更に気掛かりだ、傍から離せなくもなる。


265 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:56:36.76 ID: yVfKkUwb0
そして意外なほど男は従順であり、浮気の素振りなど微塵と無いほど女に惚れ込んでいた。
自分勝手なのは考える頭が無いだけで、根は純粋な人間なのだ。

そう、まんま子供なのだ彼は。


可愛さなど無ければ時折憎くもなる、それでもそののほほんとした風貌は憎めない。
喧嘩しても寝て起きたらケロッとしている様な相手ならば、怒り続けるだけ馬鹿らしい。

大喧嘩をしても次の日に何食わぬ顔で「朝ご飯何?」と聞かれればきっと皆も分かるだろう。
強情を張ってしまう自分が、彼以上に子供っぽく感じてしまうのだ。
彼にムキになってしまっては子供、大人の対応で振舞わざるをえなくなってしまう。

どこまでも男は子供なのだ。



それならば彼女が放っておけないのも納得してくれようか。

彼女が結局彼に固執してしまう理由が分かろうか。



そして彼に悪気など微塵とありはしない理由に至るまでが。


274 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 21:58:34.46 ID: yVfKkUwb0
当然だが彼も全てが悪いわけではない。

素行は目立つが、注意は聞くし一端の努力も見せる。
持続力も無ければ興味の移り変わりが早過ぎる為に、その成果が現れる事など殆どありはしないが。


そして何よりも、全力で物事にぶつかっていく傲慢さがあった。


興味無い事や厄介事に首を突っ込みたがらない特性は前述した通りだが、
やるべき事だと分からせ、その他の興味さえ取っ払えば遺憾なく力を発揮する。

そうまでして使うだけの価値があるかどうかは別だが。
その点で会社は彼を使えないものとは認識しなかった。
もっとも、それ以上の人材などざらだ、同情で雇う余裕もなくなればクビの第一候補は明確だった。



彼の最もすごい箇所は、その事実にすら動じる事無く何食わぬ顔でいられることかもしれない。

常に彼を危ぶむのは彼の周りばかりだ。


280 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:00:09.82 ID: yVfKkUwb0
('A`)「聞けって、さっきも言ったけど、俺は今ようやく一つ大きな番組任されてな。
  そのコーナーが一つ埋まらなくて四苦八苦していたんだ。
  『密着・職無し父親の7人家族生活』……どうだ、興味惹かれないか?」


無茶を言うな、彼が食いつかないわけが無いだろう。
なまじ知識ある子供を騙す事など他愛も無い。
それほど騙しやすい人材がどこにいるだろうか。


本当の子供のような素直さが無い。


そのくせ楽な事ばかり意識がいく。


目の前に美味しそうな餌さえ出せば、誘うまでも無く喰いついてくる。

盲目となった後は簡単だ、何をしても文句など言えないだろう。
厳しい拘束条件も、彼に向けられたものでなければ気にも留めないだろう。


話はトントン拍子に進み、その崩壊は始まった。


後はただ、終結までのカウントダウンを待つのみだった……。


282 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:01:07.00 ID: yVfKkUwb0






('A`)「聞けって、さっきも言ったけど、俺は今ようやく一つ大きな番組任されてな。
  そのコーナーが一つ埋まらなくて四苦八苦していたんだ。
  『密着・職無し父親の7人家族生活』……どうだ、興味惹かれないか?」











290 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:02:47.84 ID: yVfKkUwb0



(;^ω^)「ちょww何言っているんだお、別れるなんて正気かお!?
  ゴメンだお、今まで以上に頑張って職を見つけるお!
  頑張るから考え直して欲しいお、許して欲しいお!」

ξ ⊿ )ξ「ゴメン……無理……」

(;^ω^)「無理なもんかお、出来るお、大丈夫だお!」

ξ ⊿ )ξ「……」

( ;ω;)「お願いだから……首を縦に振って欲しいお。
  僕を……見捨てないで欲しいお」

ξ ⊿ )ξ「……」

( ;ω;)「……」

ξ ⊿ )ξ「……」



298 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:04:22.30 ID: yVfKkUwb0

( ;ω;)「もう、本当に……駄目なのかお?」

ξ ⊿ )ξ「……ごめん」

( ;ω;)「そんな、子供たちはどうするんだお!?」

ξ ゚⊿゚)ξ「私が引き取るわ、もう一回私も働く。
  足りない分は祖父母の年金やお父さんお母さんに補助してもらえば何とかなると思う」

( ;ω;)「……駄目だお、僕には……ツンも、子供たちも残らないのかおッ!?
  そんなのないお、有り得ないお! 嘘だお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「ごめんなさい、でも、アナタには渡せない、絶対に」

(#;ω;)「ふざけんなお、もう僕も三十後半でどうやっても挽回なんて無理だお!
  どうしろって言うんだお、勘弁してくれお!
  お願いだから……ゴメンだお、もうどうにか……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」



311 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:05:58.68 ID: yVfKkUwb0
ξ ゚⊿゚)ξ「何回も考えてみたけれど、やっぱり一度リセットしないと無理だなって。
  私もこの歳になったけど、もう一度何とか頑張ってみようと思う。
  だからさ、アナタも……出来るよ、絶対に」

( ;ω;)「お願いだお……見捨てないで欲しいお……
  僕にはツンが必要なんだお、ツンじゃないと駄目なんだお僕は。
  それは誰よりも僕自身が一番知っているお」

ξ ゚ー゚)ξ「そんなこと無い、アナタはやれば出来るわよ。
  今までその機会が無かっただけ、絶対」

( ;ω;)「無理無理、絶対出来ないお、オマエがいなくちゃ駄目なんだお!
  明日から働くお、子供の面倒も一緒に見るお!
  テレビカメラももう止めるお、明日からいつもの、今までの暮らしに戻れるんだお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

( ;ω;)「一緒に戻るお、今までの幸せだった頃の家庭に。
  カメラも何にも無い、誰のものでもない、僕達の家庭に」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

( ;ω;)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

( ;ω;)「……やっぱりもう駄目なのかお?」

ξ;゚⊿゚)ξ「……ゴメンなさい」


318 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:07:51.42 ID: yVfKkUwb0
(#;ω;)「ふざけんなお、ツンのバカ、自分勝手で、最後には見捨てて裏切り者ッ!
  寂しいじゃないかお、もう一緒に暮らせないのかお!?
  こんなに大好きなのに、今でもこんなに好きなのにッ!」

ξ ゚⊿゚)ξ「あのね、これだけは……勘違いしないで欲しいの。
  私もアナタが好きだって事を……」

( ;ω;)「だったら……どうして……」

ξ;゚⊿゚)ξ「ゴメンなさい……」


( ;ω;)「……僕こそ、今までオマエに苦労ばかりで……ゴメンだお。
  そして今まで本当にありがとう」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

( ;ω;)「お願いだから、アプーだけ預けてくれないかお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「!?」

( ;ω;)「もう一度やり直す上で、僕が頑張るためにもアプーが欲しいお。
  立派な女の子に育てて、またいつかツンに会うために。
  誰かのために、頑張れるように」



ξ ゚ー゚)ξ「……うん、わかった」


326 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:08:55.88 ID: yVfKkUwb0





  「さようなら」










334 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:10:04.46 ID: yVfKkUwb0





    第7話 「アプー:家庭」





349 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:12:13.67 ID: yVfKkUwb0
ホライゾンとツンが別れてから、5年の月日が経った。
当時は幼子で言葉を思うように話せなかった末っ子のアプーも、今では小学校に通っている。
彼女の兄弟も通った、相変わらず然程大きくも無い学校だったが、そこに5年前の面影は殆ど無い。

新しく建設された体育館に植えられた卒業記念樹木、塗り直されたペンキ。
5年前を連想させるものがパッと見では見つけることが出来なかった。
それがいいのか悪いのかは分からない。

( ^ω^)「アプー、去年は授業参観、行けなくてゴメンお」

(*ノωノ)「ううん、パパは今日来てくれたし、気にしてない。
  それよりも、今日はわたしのはっぴょうだから、ちゃんときいててね!」

( ^ω^)「ああ、一瞬たりとも気をぬかないお」

5年前に離婚してから、彼は躍起に仕事を探し、4ヶ月ほどかかって新しい就職先を決めた。
家族のために時間が取れて、30代の自分を雇ってくれるところなど無いと諦め切っていたが、頑張ればどうにかなるものだ。
捨てる神あれば拾う神ありとは言ったものだ。

それでも30代の新入社員など良い目で見られない、同期から上司にまで扱いに困られた。
しかし頑張っていれば想像以上に早く周りは認めてくれる。
半年も経てば、20代前半の同期ともタメ口で話し合える仲にまでなった。

元より彼は人当たりは悪くないのだ、改心したならそれは当然だったのだろう。


363 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:14:02.63 ID: yVfKkUwb0
アプーが小学一年生の頃の授業参観は、仕事が軌道に乗り始めていた時で、昇給を決める大事な時だった。
申し訳ないと思いながらも、苦渋の決断として彼は仕事を優先した。

(*ノωノ)「はずかしいから、パパは来なくてもいいの」

まだ若い母親が多い中、一人歳のいった父親がいれば当然いい目では見られない。
子供ながらにもそれを感じていたのかと彼はひどく辛い思いをした。

その週末に代わりに遊園地へ行ったが、そのしこりだけはずっと残っていた。


そして今年、有給をとっていよいよ授業参観の日が来た。


(*ノωノ)「パパ、今回は来てくれるの?
  ぜったいだからね、休んじゃダメだからねっ!」


その嬉しそうな顔を見て、安心よりも先に嬉しさが体全体を支配した。
当日熱が42度あろうとも、絶対に参観してやると誓った。


そして今日は当日、体調もすこぶる良い、心は今までに無いほど奮い立っていた。
最後にこの学校に来たのは、5年前の子供たちの授業参観の日。
その日を思い出せる風景が残っていないのは良い事なのか悪い事なのか。


367 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:15:29.54 ID: yVfKkUwb0



階段を上り、2年生の教室へと足を踏み入れた。
まだ授業は始まっていないのか、数人の子供たちがはしゃいでいる。

そして彼の想像通り、既にいる保護者たちは皆揃いもそろって若い母親ばかりだった。


一人言い知れぬ疎外感を感じながらも、アプーを見つけて手を振った。


嬉しそうに口を緩ませながらも、やはり恥ずかしそうにそっぽを向いてしまった。

それだけでも彼は満足だった。


( ^ω^)(来て良かったお……)


お洒落に身を包んだ今時の奥様の中、彼は一人スーツに身を包んでいた。
一人場違いな空気を感じながらも、後悔は無かった。



  「はい、それでは本日の授業を始めます!」



375 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:17:16.67 ID: yVfKkUwb0


  「今日は、宿題に出しておいた作文、『ぼく・わたしのおかあさん』を読んでもらいます。
  まずは、斉藤君」

  「うわ、マジぼくかよー」

  「斉藤君の保護者の方は……」

教師が促すと、教室の後で恥ずかしそうに手を上げる女性がいた。
煌びやかに身を包みながらも、恥ずかしそうに微笑んで。

  「お忙しい中来てくれてありがとうございます。
  それでは、斉藤君、読んでください」

  「はい、『ぼくのおかあさん』。
  『ぼくのおかあさんは、とてもやさしいです。ぼくが、いたずらしたときでも……」


なるほど、どうりで男が彼一人なわけだ。
そう、今回の授業では『ぼく・わたしのおかあさん』という題名の作品を読むのだから。


しかしアプーはそんな事一言も言っていなかった。
そんな宿題が出たなど、何一つと彼は聞いていなかった。
この家庭を……子供心に何を思ったことだろうか。

考えれば考えるだけ、彼の胸は引き裂かれるような錯覚を覚えた。


381 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:18:47.60 ID: yVfKkUwb0
今日発表があると、どんな気持ちで子供が言ったのだろうか。
あの笑顔は本物だったのだろうか。

(;^ω^)(アプー……)

立ち眩みしそうなほど、心が締め付けられていた。
どこかの子供が発表している間ずっと、気持ち悪くて立っている事すら苦痛なほどだった。



  「はい、斉藤君ありがとうございましたー。
  優しいお母さんですね、大切にしてください、これからも。
  そして次は……内藤さん、おねがいします」

(*ノωノ)「はーいっ!」

アプーは勢いよく手を上げて立ち上がった。

  「内藤さんの保護者の方はどちらでしょうか?」

その声を聞き、申し訳なさそうに手を上げる彼を見た人たちは、一斉に目を丸くした。
教師の驚き具合は殊に酷く、まるで人生未曾有の失敗をしでかしたかのような表情をしていた。

彼も堂々としていればいいものを、どうやら体中から卑屈なオーラを漂わせていたようだ。
一見して誰もが片親だと分かってしまうほどに。


アプーは他人の目線に何一つ気配りもせず、父親の顔をちらりと見ると、すぐにも発表を始めた。


393 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:20:17.42 ID: yVfKkUwb0





(*ノωノ)「わたしのおかあさん」










403 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:21:23.75 ID: yVfKkUwb0

( ^ω^)「ツン、久しぶりだお。突然電話してすまないお」

ξ ゚⊿゚)ξ『ううん、私もアナタの声を聞きたいと思っていたところ。
  あと、アプーとも話したいななんて、元気してる?』

( ^ω^)「アプーは元気だお、来月には授業参観もあって今から楽しみだお」

ξ ゚⊿゚)ξ『あ、去年は行けなかったってヤツ?
  今年は行けるんだ、良かったわね』

( ^ω^)「絶対に行くお、それで……その、今週末会えるかお?」

ξ ゚⊿゚)ξ『本当突然ね、急な仕事でも入らない限り多分大丈夫よ』

( ^ω^)「じゃあ、久しぶりにアプーと三人で会わないかお?」

ξ ゚⊿゚)ξ『……そうね、私もアナタに会いたいと思っていたところだし』

( ^ω^)「それじゃあ、例の……レストランで待ち合わせしたいお」

ξ ゚⊿゚)ξ『例のレストランか……うん、分かった』

( ^ω^)「それじゃ、いきなり電話驚いたと思うけどすまなかったお」

ξ ゚⊿゚)ξ『気にしないで、それじゃ今週末ね、おやすみ。ちゃんと食事しなさいよ?』

( ^ω^)「分かってるお、大丈夫だお。おやすみ」


409 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:22:49.83 ID: yVfKkUwb0

( ^ω^)「アプー、ママのこと……覚えてるかお?」

(*ノωノ)「うん、覚えてる。ママ、綺麗だった」

( ^ω^)「そうだお、とっても綺麗だったお」

(*ノωノ)「会いたい」

( ^ω^)「この日曜日に会うんだお。それでアプー、また、ママと一緒になりたいかお?」

(*ノωノ)「うん!」

( ^ω^)「そうか、それじゃパパ頑張るお」

(*ノωノ)「パパ、頑張るの?」

( ^ω^)「うん、あの時の僕は何も知らなくて本当にダメダメだったお。
  でも……今は違う、今ならきっと認めてもらえるから、アプーのためにも頑張るお。
  しっかりと認めてもらえるように」

(*ノωノ)「?」

( ^ω^)「ちょっと分かり難かったかお? また、兄弟全員揃って食卓を囲うお」

(*ノωノ)「うん、ぜったい!」

( ^ω^)「ああ、約束するお」



418 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:24:26.05 ID: yVfKkUwb0

( ^ω^)「ごめん、待ったかお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ううん、今来たところだから大丈夫。アプー、こんにちはー」

(*ノωノ)「こんにちは!」

ξ ゚⊿゚)ξ「えらいえらい。ちゃんといい子にしてる?」

( ^ω^)「してるお、ね、アプー」

(*ノωノ)「うん!」



( ^ω^)「突然誘ったけど、本当に大丈夫だったのかお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ちょうど仕事もひとしきり終わったところだから心配無用。
  アプーの顔を見るために頑張ったわよ。おかげでこんな可愛い顔見られて苦労も吹き飛ぶわ」

(*ノωノ)「あぷ」

( ^ω^)「それは良かったお」

ξ ゚⊿゚)ξ「そういえば本当突然だったけど、何か用件でもあったの?

( ^ω^)「ううん、後でいいお。それよりもしばらく話したいお」

ξ ゚⊿゚)ξ「話ねぇ……なんかアナタらしくないw
  そういえばちゃんと食事とってるの? 給食費滞納なんてしていないわよね」


425 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:25:58.28 ID: yVfKkUwb0

( ^ω^)「大丈夫だお、お弁当の時なんてタコさんウインナー入れてるお」

(*ノωノ)「タコさんばっか」

(;^ω^)「うるさいお、タコさんしか作れないんだお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「そっか、じゃあ今度私も作って欲しいわね、お弁当」

( ^ω^)「いつでも言ってくれお、早起きして腕によりをかけて作るお!
  タコさんいっぱい入れてあげるお!」

ξ ゚⊿゚)ξ「そんなにいらないわよw 掃除洗濯もちゃんとやってるのかしら、安心した」

( ^ω^)「当たり前だお」

ξ ゚⊿゚)ξ「でももうちょっと気遣い足りないわね、アプーの洋服見ていると。
  その辺りは女性の感覚が必要かしら、今度一緒に買いに行こうか」

(*ノωノ)「うん!」

( ^ω^)「助かるお、それに、今度なんて言わず……その、ずっと見てやって欲しいお、アプーを」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」



ξ;゚⊿゚)ξ「あのね、突然ごめん……。その、私……来月に再婚することにしたの」


444 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:27:34.46 ID: yVfKkUwb0

( ^ω^)「おめでとう」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

( ^ω^)「それは良かったお、相手は仕事関係かお?
  ツンは面倒良くて優しいから、僕みたいなにまた騙されちゃいけないお?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

( ^ω^)「女性らしく、結婚して今度こそ幸せを手にして欲しいお。
  僕が言っても笑われるかもしれないけど、心から祝福するお。
  おめでとう」



ξ ;⊿;)ξ「……ねぇ」

( ^ω^)「どうしたお?」

ξ ;⊿;)ξ「私、今のアナタとなら、きっとやり直せたと思う……」



( ^ω^)「ツン……」


458 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:29:02.71 ID: yVfKkUwb0





( ^ω^)「おめでとう」










474 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/09/25(火) 22:30:43.16 ID: yVfKkUwb0
  わたしのおかあさん


 わたしのお母さんは、みんなのお母さんとちがいます。おべんと
うは、ぜんぜんきれいじゃないし、家に帰っても、いません。わた
しは、かぎを持っていつも学校にいっています。わたしと二人でも、
家は大きいです。へやは、だいどころと、げんかんと、いつもいる
テレビを見るへやと、わたしのへやと、わたしのお母さんのへやで
す。だれも使っていない、物おきのへやがふたつもあります。

 わたしは、さみしくありません。いっしょにいるかぞくはお母さ
ん一人だけです。わたしが小さいころに、二人だけになりました。
よくお母さんは、しごとで夜おそく帰ってきます。そのときは、わ
たし一人だけでとてもさみしいですが、お母さんは、帰ってくると
いつもわたしと遊んでくれます。しゅくだいも手伝ってくれるし、
おこるとこわいけど、いつもはすごくやさしいです。だから、お母
さんと二人だけでも、さみしくありません。

 わたしのお母さんは、みんなのお母さんとちがって、家にいない
だけじゃなくて、せもたかいし、ひげもはえています。そして、お
父さんでもあります。一人ではたらきながら、休みの日はいつもわ
たしとあそんでくれます。ほんとうにやさしくて、私はお母さんが
大好きです。

 わがままばっかりで、ごめんなさい。お母さん、これからもお父
さんでもあって、やさしいままでいてください。あと、タコさんウ
インナーいがいも早くおぼえてください。


              ( ^ω^)が家庭を売るようです・END


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comments

泣けた

-:2007/09/25(火) 23:27:12 | URL | [編集]

(´;ω;`)ウッ…

VIPPERな名無しさん:2007/09/26(水) 00:30:03 | URL | [編集]

普通に感動した

-:2007/09/26(水) 00:39:58 | URL | [編集]

ガチで泣いた
(´;ω;`)イイハナシダナ-

-:2007/09/26(水) 03:47:57 | URL | [編集]

ガチで泣いた

三上:2007/09/26(水) 11:18:32 | URL | [編集]

家族について考えさせられた

名無し@こっぺぱん:2007/09/27(木) 16:33:06 | URL | [編集]

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