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    2007

10.30

( ^ω^)ブーンは雷のようです 第4話【空気、人気者、バケモノ】

2 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:19:52.48 ID: gJ2yuU14O
第4話【空気、人気者、バケモノ】



気が遠くなるほどの異臭。女子のすすり泣く声。廊下の外のざわめき。
そんなもの僕の頭の中には入ってこない。

/ ,' 3「と、とりあえず、全員教室から出て。モナー先生、警察と救急車を」

( ´∀`)「わかりましたモナ」

( ^ω^)「・・・じゃないお」

/ ,' 3「え?」

( ^ω^)「僕じゃないお」

まだ認めたくない。もし認めたら、心が一瞬で潰れてしまいそうな気がする。

(;^Д^)「ウソだ!おまえがドクオを殺した!俺見たもん!殺人鬼め!」

( ^ω^)「黙れお!」

教室の蛍光灯が全部割れた。
女子たちが悲鳴をあげて教室から逃げ出した。



3 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:22:17.89 ID: gJ2yuU14O
(;^Д^)「ひっ・・・!」

( ^ω^)「僕は!僕は!」

/ ,' 3「落ちついてくれ、ブーンくん。とりあえず話を聞くから着いてきてくれ」


僕は荒巻先生に連れられて部屋を出た。

クラスのみんなが僕を見つめる。
やめろ。そんな目で僕を見るな。見るな。僕を見るな。

ツンだけは僕を見ていなかった。
今はただの黒く焦げた塊となったドクオを、死んだような目で見つめていた。
泣いていない。冷たい表情で、ただドクオを見つめていた。

荒巻先生に連れられて教室を出るとき、プギャーが呟いた。


(;^Д^)「バケモノめ・・・」

( ^ω^)「その目をやめろって言ってんだお!」


また光った。
青い稲妻がプギャーの目めがけてまっすぐ走った。



6 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:25:21.83 ID: gJ2yuU14O
( “Д”)「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!目があ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」


プギャーは目を押さえて床を転がり回った。

/;,' 3「プギャーくん!誰か救急車を!」

僕は自分の手を見つめた。
今のは僕がやった?
僕はあの目が嫌いだ。
あの目が憎い。
あの目を見たくない。

でもそれだけだ。僕はプギャーの目を焼きたいなんて思ってない。

でも、間違いなく僕の手から稲妻は走った。じゃあ僕がやったんだ。
ドクオを殺したのもきっと僕だ。そうだ。全部僕がやったんだ。プギャーは間違ってない。


/;,' 3「ブーンくん、どこに行くんだ!」

( ^ω^)「ドクオは僕が殺したんだお。もういいですお」


僕はプギャーの叫び声を聞きながら教室を出た。



8 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:28:48.23 ID: gJ2yuU14O
いつのまにか、自分がバケモノになっていたら?

鏡を見ると、そこには人間ではなく醜いバケモノが立っている。

目は真っ赤に充血し、牙は鋭く、爪で今にも他の人を引き裂いてしまいそうだ。

自分の醜い姿が憎くて、自分で自分を傷つける。血まみれになり、痛みで人間の心を失う。
そして完全なバケモノになるんだ。



自分が怖い。
通りですれ違う人が、いつの間にかドクオみたいに黒い塊になるんじゃないか。
まるで自分が、いつ牙を剥くかわからないバケモノのような気がする。



12 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:32:50.94 ID: gJ2yuU14O
手には賞状がまだあった。
さっきからずっと握っていたみたいだ。


( ^ω^)「おまえのせいだお…」

この賞状さえなければ、何も起きなかった。
そう思おうとした。
責任転嫁しないと、耐えれなかった。

賞状を破いてやろうとした瞬間、賞状に勝手に青白い火がつき、一瞬で灰になった。


( ^ω^)「なんでだお!」

僕は自分の顔をひっかいた。顔から血が出た。
それでも何もおきない。ただ痛いだけ。



16 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:36:55.98 ID: gJ2yuU14O
僕はそのまま、歩いて家にたどり着いた。
玄関の扉を開ける。

(;^ω^)「しぃ!」

しぃの黒焦げになった死体が、玄関に倒れている。


(*゚ー゚)「おかえりー。あれ?どうしたの、かお?」

(;^ω^)「!?」


ただの見間違えだった。
よっぽど怖かったのかもしれない。
このままではしぃまで殺してしまうかもしれないという恐怖が、心の底にたまっていた。


(*゚ー゚)「早くてあてしようよ。しぃがお医者さんになったげる」



18 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:41:37.38 ID: gJ2yuU14O
しぃは救急箱を持ってきた。

(*゚ー゚)「ちょっとがまんしてくださいねー」


消毒液が傷にしみる。
涙が出てきた。痛いからじゃない。

( ;ω;)「しぃ。最低だお、僕は」

(*゚ー゚)「そんなことないよ!優しいし、たよりになるし、かっこいいし、世界一だし、最高のお兄ちゃんだよ!」


優しくない。頼りにもならない。かっこよくない。
人間の皮をかぶった、ただのバケモノだ。
人殺しだ。


( ;ω;)「ごめんお。しぃ。ごめんお…」

(*゚ー゚)「泣かないの!男の子でしょ!」

しぃは僕を慕ってくれている。
でも僕にそんな価値はないんだ。
申し訳なくてならなかった。



20 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:45:45.10 ID: gJ2yuU14O
急に玄関のチャイムがなった。

( ^ω^)「はい」

「ニュー速市警の者ですが」

( ^ω^)「わかりましたお」


やっと来た。これでいいんだ。
僕がしぃのそばにいたら、いつかその牙で喰い殺してしまうかもしれない。
バケモノは天使と同じ世界では暮らせない。
僕は死ぬべきだ。


( ^ω^)「しぃ、ちょっと出かけてくるお」

(*゚ー゚)「うん!」

( ^ω^)「困ったことがあったら隣の素直さんちに言うんだお」

(*゚ー゚)「うん!」

( ^ω^)「僕がいなくてもちゃんとしてるんだお」

(*゚ー゚)「うん!」

( ^ω^)「しぃ、ごめんだお。じゃあ行ってくるお」

(*゚ー゚)「早く帰ってきてね!お夕飯作っとくからね!」




22 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:51:07.03 ID: gJ2yuU14O
~~~~~~

昔から嫌な予感だけはよく当たる。
なんとなくわかるのだ。
仕事を休み、VIP高校へ行ってみた。
用事があるわけではない。行かなきゃいけない気がしたのだ。


( ,,゚Д゚)「やっぱな。ちくしょう」

VIP高校は騒然としていた。パトカーが何台も止まり、救急車が来ていた。

( “Д”)「目が痛いぃ!助けて!熱い!」

目に大火傷を負った少年が担架で運ばれていた。あの少年、この間取材に来たとき教室にいたな。

それからしばらくして、また人が担架で運ばれてきた。布を被せられているから、恐らくもう死んでいるんだろう。
そばにはひとりの女の子がいた。
ブーンと一緒に下校するという、あの美少女だ。

しかし、俺がインタビューしたときのようなはにかんだ可愛らしい表情はどこにもなく、
人形のような無機質な目でただ遺体を見つめていた。



24 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:54:14.19 ID: gJ2yuU14O
( ,,゚Д゚)「いったい何が起きたんだ?」

俺は近くの女子高生に声をかけた。

川 ゚ -゚)「わからない。ドクオという生徒が死んだらしい」


ドクオ。
俺はなぜか教室の隅にいたあの生徒を思い出した。違うといいが…

( ,,゚Д゚)「1-6の内藤ホライゾンに会いたいんだが」

川 ゚ -゚)「ブーンはドクオという生徒と同じクラスだ。事情聴取とかされてるんじゃないか?」

ブーンは事件の起きたクラスと同じクラスか。
しかし警察にそれ以上通してもらえなかった。


( ,,゚Д゚)「ブーン…どうしてんだ?」

俺は学校をあとにした。



25 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/29(月) 23:57:37.82 ID: gJ2yuU14O
~~~~~~


僕が連れてかれたのは、狭い個室だった。中央に机がひとつある。
ここで取り調べをするらしい。

(`・ω・´)「君のことは知っているよ。テレビで見たからね。電気を使えるんだろ?」

僕は黙ってうなずいた。

(`・ω・´)「君のクラスメイトは、残念だが、死亡が確認されたよ」

クラスメイトの死亡を確認。
聞いただけじゃぱっとしない。だけどそのクラスメイトっていうのはドクオなんだ。僕が殺したんだ。
人間としての面影を失ったドクオの顔。ただの窪みとなった目。
体が震える。

(`・ω・´)「君はそのとき、彼と口論をしていたよね?」

思い出したくない。

(`・ω・´)「…。そのときの様子を詳しく教えてくれないか?」

いやだ。
そんなこと聞かなくていいじゃないか。
僕がドクオを殺したんだ。早く僕を殺してくれ。





28 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:02:52.57 ID: zXV2frytO
(`・ω・´)「うーん、じゃあ質問の仕方を変えよう。君は彼に何かしたかい?」

(`・ω・´)「じゃあ、なんで彼は死んだかわかるかい?」

目の前の警官が、鬱陶しい。
こいつは僕をどうしたいんだ。
苦しい記憶だけを思い出させて、楽しんでるんじゃないか?

「キミがドクオを殺したんだろ?」

やめろ。

「おまえはバケモノだよ」

やめてくれ。

(*#')「よくも俺を殺したな」

(*゚ー゚)「お兄ちゃんは私のことも殺すんでしょ?」

(*#')「みんなー!ブーンに近づくと殺されるよー!」

行かないでくれ。

(*#')「バケモノ」

( “Д”)「バケモノ」

ξ゚⊿゚)ξ「バケモノ」



29 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:05:42.18 ID: zXV2frytO
(;^ω^)「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

(`・ω・´)「大丈夫か、君?」


警察官が僕の肩に触れる。
その瞬間、激しい嫌悪感に襲われた。

(;^ω^)「僕にさわるなお!」

青い光と共に警察官は吹っ飛び、壁に当たって動かなくなった。
頭から血が流れている。


僕は黙って部屋を出た。

「キミ、どうし…うわっ!」

外にいた警官が僕を止めようとしたが、勝手にはじかれた。



30 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 訂正・教われた→襲われた 投稿日: 2007/10/30(火) 00:09:12.73 ID: zXV2frytO
「待て!」

何人かの警官が後ろから追いかけてきた。
だけど僕にはさわれない。
僕に近づくと、青い光にはじかれて吹っ飛んでしまう。

彼らを傷つけようなんて思ってないのに。何もしてないのに。


ひとり、またひとりと戦意を失っていく。
目に輝いてた警察官としての正義感が、ふれることすらできないことへの絶望に変わっていく。
みんな僕から逃げていく。
僕は人を傷つける。死ぬべきなんだ。
でもひとりにされるのはイヤだ。自己中だ。
でもイヤだ。
行かないで。
逃げないで。
僕をひとりにしないで。




31 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:12:49.93 ID: zXV2frytO
~~~~~~


俺は学校を後にし、適当にぶらぶら歩いていた。なんだか家に帰る気にはならなかった。
少しして、見覚えのある影が向こうから来るのが見えた。

( ,,゚Д゚)「ブーン?」

ブーンだった。
しかし、明らかにいつもとは様子が違った。

( ^ω^)「…」

ブーンは俺に気づくと足を止めた。

( ,,゚Д゚)「どうしたんだ?」

( ^ω^)「ギコさんは僕が怖くないんですかお?逃げないんですかお?」

( ,,゚Д゚)「?」

( ^ω^)「僕は人を殺しましたお。腹がたったから親友を殺しましたお。
         僕から逃げるから警官を殺しましたお」

( ,,゚Д゚)「…」

( ^ω^)「今度はギコさんを殺すかもしれませんお」



33 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:15:40.64 ID: zXV2frytO
生気のない目で俺を見つめる。
どうやら人を殺したのは本当らしい。

目の前に殺人鬼がいる。
でも、嫌悪感もなければ恐怖感もなかった。
なぜか冷静にいられた。

( ,,゚Д゚)「俺には家族もいねえし、俺がいなくなって困るのは猫のボブだけだ。お前が俺を殺したきゃ殺せばいい」

( ^ω^)「・・・僕は誰も殺したくないですお」

( ,,゚Д゚)「・・・」

( ^ω^)「ドクオも、殺したいなんて一瞬も思わなかったお。警官たちだって!」

( ^ω^)「なのに雷が勝手に!雷のせいで!」

ブーンは塀を殴りつけた。拳から血が流れた。

( ^ω^)「・・・すみませんお、ギコさんは何も悪くないのに、怒鳴ってしまいましたお」

( ,,゚Д゚)「・・・」



36 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:18:45.72 ID: zXV2frytO
俺はブーンを助けたいと思った。
ブーンが親友を殺してしまったのも、俺らがテレビに無理やりださせたからかもしれない。


( ,,゚Д゚)「何か手伝えることがあったら言ってくれ」

( ^ω^)「ありがとうございますお。でも、もうないですお」

ブーンは俺を通りすぎた。

( ,,゚Д゚)「これからどうするんだ?」

( ^ω^)「もうこれ以上誰も殺さないようにしますお」

ブーンの顔は見えないが、声は震えていた。

( ^ω^)「やっぱお願いですお。僕の妹を手助けしてやってくれませんかお」

( ,,゚Д゚)「わかった」

( ^ω^)「ありがとうございますお」

そう言ってブーンは駅の方へ向かった。


39 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: スピードあげる 投稿日: 2007/10/30(火) 00:21:09.35 ID: zXV2frytO
俺は30分ぐらい堤防を散歩したあと、家に帰った。
ブーンの最後の頼みが気になった。ブーンはこれからどうするんだろう。


俺はボブを膝に乗せ、テレビをつけた。
VIPテレビはニュースをやっていた。

『少年は同級生の毒田ドクオさんを殺害し…』

ブーンのことだ。皮肉にも、最初にブーンを超人だと放送した『USO!ビップ』もVIPテレビだった。

『少年はニュー速警察署を逃走。警察官7人が死亡、6人が感電するなどで意識不明の重体です』

画面には煙が立ち上るニュー速警察署が映されていた。


42 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:23:59.73 ID: zXV2frytO
急にアナウンサーの画面に切り替わった。

『たった今入ったニュースです。先ほど、雑談県ニュー速市のVIP線ニュー速駅で、列車が爆発したとのことです。
現場のヒートさんにかわります』


画面はヘリからニュー速駅を映す映像に変わった。
列車は真っ黒焦げで、激しい炎に包まれている。消防車や救急車が何台もいる。

『現場では、消防と救急が慌ただしく動いており、また一般人の避難のため、駅に近づけない状況です』


『列車の中には乗客がまだいるんですか?』

『炎の勢いが強すぎて救急隊も中に入れない状況ですので、乗客はまだ車内に取り残されてると思われます。
現在、消防の懸命な消火活動が行われています。
あっ!今、車内から乗客が…あっ!!』



44 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:25:42.83 ID: zXV2frytO
俺は見たくないものを見てしまった。

現場のアナウンサーの声と同時に、カメラは電車から逃げ出した乗客の姿を一瞬だけ映した。
全身が黒く焦げた、もはや人の形だけしかしてないたんぱく質の塊を。
腕には小さい塊を抱えていた。子どものようなもの。

そして、列車から数歩離れて、その塊は倒れた。


アナウンサーは少し黙ってから報道を続けた。


『炎上の原因は不明ですが、多数の目撃者の証言によりますと、
列車がホームに入ってきた瞬間、激しい青白い光とともに炎に包まれたとのことです』



47 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:28:05.71 ID: zXV2frytO
~~~~~~


『まもなく3番線、快速ガイドライン行きが参ります
危ないですので、黄色い線の内側にお下がりください』

列車が僕の前を通り過ぎて、止まった。
これで7本目だ。
一歩踏み出せば、一歩踏み出せば終わる。なのに足が動かない。

『ドアが閉まります。駆け込み乗車は危険ですのでおやめください。』

僕は生きているだけで人を殺す。生きてちゃいけない。
だから死ななきゃいけない。
僕が生きていると迷惑なんだ。

『まもなく3番線、普通シベリア行きが参ります
危ないですので、黄色い線の内側にお下がりください』



50 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:29:54.84 ID: zXV2frytO
8本目。
あれだけ人を殺したのに、まだ僕は死のうとできないのか。
自分が憎い。殺したい。

『まもなく3番線、快速オカルト行きが参ります
危ないですので、黄色い線の内側にお下がりください』


ホームに列車が入ってくる。
それと同時に僕は駆け出した。
ホームぎりぎりで足が止まった。一瞬にして死の恐怖がこみ上げてくる。

しかし、僕の足は勢いに耐えきれず、僕はホームに落ちた。

目の前に列車が迫ってくる。
間違いなく死ぬ。
死ぬ。
死ぬのは怖い。
死ぬのは怖い。
死ぬのは怖い。



55 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:32:17.76 ID: zXV2frytO
爆音。
閃光。
もう二度と見たくないものを、また見てしまった。
列車は物理的法則をほとんど無視したように、僕の目の前で無理やり止まった。
さっきまで見ていた列車とは明らかに違っていた。
黒く焦げ、激しい炎に包まれている。

運転席のガラスが溶け、運転手が這い出て来た。
運転手は、ドクオと同じ姿をしていた。


(;^ω^)「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


あちこちで悲鳴や、消防を呼ぶ声が聞こえる。
僕は、息絶えた運転手の前にいるだけだった。

(;^ω^)「ああ…ああ……」



57 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:35:00.24 ID: zXV2frytO
しばらくして、列車から人が出てくるのが見えた。
黒く焦げた人間。腕には子どもを抱えている。
そして、そのまま倒れた。

あれも、僕がやったんだ。
全く知らない人間までも、何も悪くない人間までも、何人も殺してしまった。

あの人は今日子どもの誕生日だったかもしれない。
あの人は今日結婚記念日だったかもしれない。
あの人は今日プロポーズする予定だったかもしれない。
あの人は今日彼女と久しぶりに会える日だったかもしれない。

奪った。
全部僕が奪った。
命も、未来も、夢も、喜びも、悲しみも、家族も、全部。




62 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:39:25.38 ID: zXV2frytO
(;^ω^)「もう嫌だお!嫌だお!嫌だお!」

こんな力要らない。雷なんていらない。

「君は…!」

ホームの人たちが僕を見つめた。
たくさんの目が僕を見る。
恐怖の目。
驚きの目。
軽蔑の目。
いろんな目が、僕を見る。


(;^ω^)「見るなぁぁぁぁぁぁぁ!!」


僕はその場から駆け出した。
何が起きても見えないように、振り向かなかった。
後ろから悲鳴が聞こえてきても、振り向かなかった。




65 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:43:18.19 ID: zXV2frytO
ひたすら走った。

転んだ。

膝から血が出た。

でも走った。

また転んだ。

唇を切った。

血の味が広がった。

苦しくて、地面をひっかいた。

爪が割れた。

吐きそうになった。でも、もう吐く物は何も残ってなかった。

僕にはもう、何も残っていなかった。




68 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:46:23.98 ID: zXV2frytO
気がつくと『秘密基地』に向かっていた。
小さかったころ、よく『秘密基地』で遊んだ。
僕らはただの空き地を『秘密基地』と呼び、カードゲームをしたり、ひなたぼっこをしたりして過ごした。

『秘密基地』に行けば、仲間がいた。
『秘密基地』は、僕にとって、もう一つの家だった。
『秘密基地』に行けば、昔に戻れると思った。


( ^ω^)「ドクオ、何読んでるんだお」

('A`)「心理テストの本」

ξ゚⊿゚)ξ「おもしろい?」

('A`)「よくわからない」

ξ゚⊿゚)ξ「なにが?」

('A`)『あなたの恋人とお母さんが溺れています。浮きわは一つで、どちらか片方しか助けることしかできません
    どちらを助けますか?』

( ^ω^)「難しいお」



70 名前: ◆r9HqBXUdP. Mail: 投稿日: 2007/10/30(火) 00:50:07.29 ID: zXV2frytO
('A`)「解答が2つしかないんだ。恋人は未来を大事にするひと、母親は過去を大事にするひとらしい」

ξ゚⊿゚)ξ「何それ、カスじゃない」

('A`)「だろ?でも、本当にそうなったらどうしたらいいんだ?例えばツンとブーンが溺れてたら?」

( ^ω^)「僕だったら、ツンとドクオのどっちか迷って、そのまま2人とも助けれないお」

ξ゚⊿゚)ξ「ダメじゃない。私を助けなさいよ」

('A`)「俺だったらなんとしても2人助けたい。無理だとしてもだ」

( ^ω^)「ツンだったらどうするんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「私か…。私だったら、2人と一緒に流されるかな?
      誰か1人が寂しい思いしたら可哀相じゃない」

('A`)「みんな死んじまうのかよ」

ξ゚⊿゚)ξ「いいじゃない。一緒のほうが楽しいし」






『秘密基地』には、ツンがいた。




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