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    2007

03.26

夜神総一郎が雛見沢に左遷されたようです ~FINAL~

「ひぐらしのく頃に」のネタバレ等が
含まれているかもしれませんのでご注意ください。

229 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 15:06:13.57 ID: l+TDV6Z50


『では、始めるぞ。
 夜神総一郎、一世一代のがんばり物語を……!』




最終話「死刑台」




 薄暗い月光を浴び、私は目を覚ました。
 時刻は深夜2時を回った頃。
 丑三つ時というやつだ。
 前原家は深い静寂の中に沈んでいる。
 どうやら……シブタクはまだ帰ってきていないようだな。

 私は眼鏡をかけ、階段を下りた。
 一階の電気も当然、全て消されている。
 便所に入り、再び廊下に出た時、私は妙な違和感を感じた。

総「…………? 誰かいるのか?」

230 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 15:11:01.74 ID: l+TDV6Z50

 振り返る。
 誰の姿も確認出来ない。
 気の所為だと言い聞かせ、私は階段を上がる。
 
ギシ……ギシ……ギシ……ギシ……

 そうだ、気の所為だ。
 
ギシ……ギシ……ギシ……ギシ……

 ははっ、誰もいないじゃないか。

 今夜は早く寝よう……

ギシ……ギシ……ギシ……ギシ……ぺタ。

総「ウ゛ォオオオオオオオオッ!!」

 思わず飛び上がったら、足場を踏み外してしまった……!
 ヤバい、バランスが崩れて……
 ――あ。


 落ちながら私が最後に願ったもの、それは先に脱童貞しようとしたシブタクの死かも知れない。


232 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 15:19:20.00 ID: l+TDV6Z50
 同時刻――林道付近


 朧月は雲に隠れ、今や道を照らしているのは等間隔に建てられた電灯のみ。
 そんな暗澹とした夜の道を、一人で歩く人影があった。
 顔は沈み、何かに憑かれたような顔をしている。
 憂いを帯びた男性は、さっきから首筋を気にしているのか。
 何度も爪で引掻いたり、触ったりしていた。

渋「へへ……性病移されちまったみたいだぜ……」

 彼の脳裏に、先程まで共にいた少女の言葉が反芻される。

レ『実はね、寄生虫の正体は……宇宙人なの』

渋「寄生虫……クラミジア……梅毒……エイズ……」

 レナから連続怪死事件の真相を聞かされた渋井丸拓男は、一人前原邸へと帰路につく。
 性病に感染したかもしれない恐怖と戦いながら。


235 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 15:30:08.06 ID: l+TDV6Z50
 ぺタ。

 確かに聞こえた。

 シブタクは一度立ち止まり、確認する。

 さっきから誰かが後ろにいる。

 彼は気付いていた。

 ずっと、ずっと背後に何者かの気配を感じていた。

 小さな息遣い、少女のような足音。

 間違いない、これは……

渋「へへ……レナ……へへ……」

 やはり彼女は自分を見捨ててはいなかった、とシブタクは思った。

 そして同時に、身体の奥底から湧き上がるようなリビドーの蠢きを感じていた。


236 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 15:46:52.02 ID: l+TDV6Z50
渋「レナ……やっと俺に抱かれてくれる気になったか……へへ……」

 だが、いくら話しかけても声はしない。
 背後から聞こえるのは、ただただ機械的な呼吸のみ。
 シブタクは確信した。

渋「て、照れて……るんだろ……へへ……」


 鼓動が一定のリズムでシブタクを震えさせる。
 ようやく脱童貞出来ることへの感激で、心臓が打ち震えているのだ。
 首は痒かったが、童貞の燃え上がる性欲の前では蚊のパンチに等しい。
 今、シブタクの頭の中には『性交』の二文字しかなかった。


渋「俺……へへ……もう限界だぜ……」

 焦らしながらも、シブタクはズボンを脱ぎ捨てる。
 普段から下着を着用していない彼の下半身には、生で息子が揺れている。
 それでも、後ろにいる筈のレナからは、怖ろしい程に反応が無い。

渋「レナ……ハァ……ハァ……ハァハァ……へへ……」

 地面を伝って何かが近付いてくる。
 だが、シブタクはそんな事は意にも介さず、振り向いた。











 最期に目に映ったのは、一台の白いバン。
 側面に『小此木造園』と書かれた車が、目の前に迫っている光景だった。



239 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 16:13:20.01 ID: l+TDV6Z50

 朝、総一郎は眼が覚めるとリビングにいた。
 昨日の夜に階段から落ちて、気絶していたらしい。
 ソファーまで運んでくれたのは圭一だろう……

圭「やっと起きたか?」
総「うっ……あ、あぁ、心配をかけた……」
圭「いきなり廊下から悲鳴が聞こえたからさ、何事かと思ったぜ。」
総「ここまで運んでくれたのは圭一か?」
圭「あぁ、かなり重かったんだぜ? 骨が折れたよ。」

 何と優しい少年なんだろう……
 どんな重症でも、月なら3時間はそのまま放置するからな。
 こんな人の優しさに触れたのは何年振りだろうか。
 もう幸子と別れて圭一と結婚しようかな……ハァハァ……
 む、いかん。刑事たるものがショタに走るなどと……ハァハァ……圭一……


240 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 16:20:12.52 ID: l+TDV6Z50

総「圭一くんの中……温かいナリ……」
圭「何ブツブツ言ってんだ?」
総「いや、気にするな。」
圭「? って、もうこんな時間じゃねぇか!!」

 圭一が時計を見て大声で叫んだ。
 そういえば、魅音との待ち合わせ時間はとうに過ぎている。
 レナは……今日も先に一人で学校に行ったのだろう。
 
圭「じゃあ俺は学校行ってくるから!」
総「あぁ。戸締りは任せておけ。」
圭「……そういやシブタク知らないか? まだ帰ってないんだけど。」
総「淫らな朝帰りだと言っていたぞ。」
圭「何だそりゃ?」


241 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 16:32:51.68 ID: l+TDV6Z50
 圭一を見送り、総一郎は一息ついた。
 気分はすっかり母親だ。
 仕事に行くまでは時間があったのでテレビを点ける。
 2chではいつものアナウンサーが、政治経済のニュースを読み上げていた。

総「ハァハァ……アミーゴ……伊藤……アミーゴ……アミーゴ伊藤……ハァハァ……」

 誰もいない家というのは、えてして開放的な気分になるものだ。
 気が付けば、総一郎は息子を弄りながらテレビを食い入るように見つめていた。

総「……うっ……いいぞアミーゴ……アァッ! イク、イクぞ!! アァアアアミィイイゴォオオオオッ!!」


242 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 16:42:47.34 ID: l+TDV6Z50
 やはり下着を履いたまま出したのは早計だったか
 総一郎は後悔した。代えの下着を持っていないのだ。

総「今日もノーパンだな……ふふっ。」

 ノーパンは風が直接入ってくるから心地よいのだ。
 濡れたパンツを脱ぎ、洗面所で洗っていた時。
 不意にリビングで電話が鳴った。


リリリリリリリン!

総「もしもし、こちらクソレストラン。ご予約で?」
大「興宮署の大石です。」
総「初めて会った日に私を掘ろうとした大石さんですか?」
大「被害妄想です。んっふっふ~」
総「」
総「こんな時間に電話なんて、何かあったんですか?」
大「実は……渋井丸拓男くんが……今朝、死体で発見されました。」


!?


246 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 17:18:13.13 ID: l+TDV6Z50
総「嘘だと言ってよバーニィ!」
大「これが世界の選択です……夜神さん……」

 そんな……シブタクが……死んだ?

 あの元気だったシブタクが?

 いつも、いつも馬鹿やって私たちを笑わせてくれたシブタクが?

 もう……二度と会うことが出来ないなんて……

 信じられない。信じられない。信じられない。

 いや、信じたくない。

総「自殺か? 他殺か? 撲殺か? 毒殺か? 暗殺か? 絞殺か?」
大「……轢き逃げです。」
総「ワーオ! ファンタスティイイイイック!!」
大「犯行時刻は昨晩……恐らく即死だったでしょう。」

 数日とはいえ共に暮らした家族だったシブタク。

 その家族が、無残にも車に撥ねられて。

 総一郎は嗚咽を堪えて号泣した。

 絶対に犯人を許さない。

 必ず、捕まえる。


253 名前: 魔法少女(京都府) Mail: NG指定 投稿日: 2007/03/24(土) 17:34:52.03 ID: l+TDV6Z50

大「夜神さん、犯人を捕まえるにはあなたの協力が必要です!」
総「あぁ……っ……うぅ……ぅく……」
大「必ず、我々の手で犯人を捕まえてみせましょう。」
総「そうだな……必ずだ……」
大「んっふっふ~ 今日から徹夜ですよ~!」
総「えー……あ、うん。」
大(今、スゴい面倒くさそうな声出した……)


 その後、大石さんから事件現場を聞き、早速向かうことにした。
 途中で何度か道に迷ったので、結局現場に着いたのは昼過ぎ頃だった。


255 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 17:43:10.52 ID: l+TDV6Z50

総「めんごめんご。」
大「遅いですよ……何してたんですか……」
総「ちょっと本屋でジャンプを……で、捜査状況はどうですか」
大(ジャンプをどうしたんだ?)
  「仏は渋井丸拓男。もう夜神さんはご存知でしたよね?」
総「あぁ、同棲して同衾したからな。」
大「……死因は全身打撲。死亡時刻は昨晩の深夜だと思います。」
総「さ、昨晩……?」
大「そうですけど。それが何か?」
総「い、いあややおあやいや、何でもないですだよ。」
大「? とにかく、今は鑑識結果と聞き込みに頼るしかない状況です。」
総「適当に捏造すればいいだろ、某国みたいに。」
大「総連の方に刺されますよ?」


256 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 17:54:05.77 ID: l+TDV6Z50


総(死亡時刻は昨晩の深夜……ちょっと待て。)

 昨晩の深夜といえば、総一郎が前原邸で階段から転げ落ちた頃だ。
 その時……階段から落ちるとき……自分は何を願った?
 思い出したくない、思い出してはいけない……
 だが――

総『先に脱童貞しようとしたシブタクに……死の洗礼を。』


総「うわぁああああああああッ!!」
大「な……ど、どうしたんですか、夜神さん!!」
総「私が殺したのか!? 私が、私が殺したのかぁあああッ!!」
大「少し落ち着いて下さい夜神さん!」
総「そうだ、私が願ったから死んだに違いないんだ!!」
大「願った? 殺した? 何のことです?」
総「私が、私がシブタクを……私が……殺して……」


 何ということだ……
 願っただけで人を殺せる? いや、実際に殺したんだ。
 これじゃキラと同じじゃないか……
 いや、まてよ? そうか……そうだったのか……
 やっと謎が解けた! はーははー!!

総「私が……夜神総一郎こそが、キラだったんだよ!!」
大「な、なんだってー!!」


259 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 18:10:18.95 ID: l+TDV6Z50

総「真実はいつも一つ!! じっちゃんのペロにかけて!!」
大「つーか、キラって誰ですか。」
総「新世界の偉大なる神、総一郎を讃える名だ。」

大「しかし……正直言って総一郎さんが犯人だという可能性は……7%です。」
総「な、どういうことだ!? 他にも疑われている奴がいるのか?」
大「……これはまだ確信の無い情報ですし、あまりに突拍子のない話なので……」
総「誰だ? 誰なんだ? 教えて目暮警部!」
大「昨夜の深夜に……近隣住民が『竜宮レナを見た』と証言しています。」
総「りゅう……ぐ……うれ……な?」
大「とは言っても、深夜に年端もいかない少女がいるとは考えられません。恐らく見間違いでしょう。」

総(いや、昨日シブタクと最期に会ったのはレナだ……可能性はある。)

大「私は園崎家が怪しいと踏んでいます。恐らく……密会など見られてはマズい場面を見られたから、」
総「背後から襲って薬を飲ませた……!!」
大「車で撥ね殺したのでしょう。」

263 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 18:44:38.36 ID: l+TDV6Z50

総「まさか……犯人が黒の組織だったなんて……? いや、違う! 犯人は私だ!!」
大「そのネタで引っ張るのは止めて下さい。」
総「(私が願ったから……レナがシブタクを殺してしまったという事か……)
大「おや、無線に熊ちゃんから連絡ですね。」



『ガ……ガガ……大石さん、事件発生です!』



大「kwsk」
熊『ガガ……営林所で鉈を持った少女が立て篭もってます!』
大「な、なんだってー!」
総「営林所?」
大「雛見沢分校のことですよ。あー、人質は何人いますか?」
熊『今日は平日でしたので……恐らく全員かと。』
大「全校生徒が人質ですか。豪快ですね~」
熊『笑ってる場合じゃありませんよ、大石さん……』
大「その少女の身元は分かりますか?」
熊『住民が言うには……犯人は“竜宮レナ”だと思われます!』

大「夜神さん、とりあえず分校に向かいましょう。」
総「は、はい……」


264 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 19:04:46.15 ID: l+TDV6Z50


同時刻 分校


圭「早まるなレナ! 今からでも自首するんだ!」
レ「もう遅いよ、みんな殺されたくなかったら命令に従って。」
圭「くそっ……どうして……」
魅「やっぱり……私達は仲間じゃなかったの?」
レ「ごめん。でも、魅ぃちゃんも悪いんだよ? 私に黙って警察に保護を頼んだりするから。」
魅「だって! レナが昨日の晩から勝手に失踪しちゃうから……」
沙「もう止めて下さいませ!」
梨「…………」
レ「圭一くん。皆を上手くロープで縛れた?」
圭「あぁ……これでいいだろ……」
レ「レナは不本意だけど圭一くんを信じてあげる。」
圭(まだゲイだと思われてるのか……俺。)


266 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 19:15:40.64 ID: l+TDV6Z50
大「状況は?」
熊「鉈を手に、クラスメート全員を人質に取って立て篭もっています。」
総「ところで、私の性癖を知りたくないかな?」
大「犯人の要求は何だって?」
熊「それが……言ってることが意味不明で……」
総「スクール水着の幼女に生クリーム塗ってペロペロしたいんだ。」
熊「雛見沢の村人を操っているのは寄生虫型の宇宙人だ、と言っています。」
大「うわぁ。」
熊「例年の祟りの真相究明を警察へ要請する、とも言っています。」
大「俺が知りたいっちゅーねん。」
熊「更に、それが19時までに遂行できない場合……教室を爆破して全員殺害する、と。」
大「何だって!? 無茶苦茶じゃないか!」
熊「状況は最悪です……」
総「………………」


269 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 19:25:17.82 ID: l+TDV6Z50
大「くそっ、ここに前原圭一がいれば良かったのに……」
総「私では役不足か?」
熊「限り無く不足してますよ。」
大「! 熊ちゃん、犯人が何かを訴えかけてます!」
熊「あれは……」

レ『警察の皆さん、もう捜査は進んでますか?
  約束の時間までに真相が分からなかったら……分かってますね?』

大「ふざけやがって……!」
熊「あの目は冗談じゃなさそうですね……」

レ『そうそう、警察代表として交渉役を一人こっちに連れてきて頂戴。』

熊「え……これって……」
大「竜宮レナを捕まえるチャンスですよ! 私が行きましょう!」

レ『ただし、交渉役は夜神総一郎。異論は認めない。』

大「mjd」
熊「これはひどい。」


270 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 19:32:06.26 ID: l+TDV6Z50

大「夜神さん、決して竜宮レナを刺激しないようにお願いします。」
総「任せろ。全力で逆鱗に触れてやる。」
熊「あんた真剣に……!!」
大「ここは堪えて下さい、熊ちゃん!」
熊「ですが……どう見てもこいつじゃ……」
大「流石に命の危険がある時に馬鹿やったりしませんよ。」
総「そうだ、馬鹿にするな。これでも東大卒だぞ。」
熊「…………………」
大「それに、仮にも元警察庁局長ですよ?」
総「しかも東大卒だぞ。」
熊「……………」
大「ただの馬鹿が警察庁局長になれませんよ。彼を……信じてみましょう。」
熊「分かりました…………」
総「はは、ツンデレめ。」

272 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 19:43:42.76 ID: l+TDV6Z50

圭「警察から交渉役の人が来る、心強いぜ……」
レ「ただし、交渉役は夜神総一郎。異論は認めない。」
圭「死にたい。」
レ「そんなに死にたいなら殺してあげようか?」
圭「生きてるって素晴らしいね!」
魅「段々と圭ちゃんが壊れてきたよ……」
沙「毎日がストレスの連続でしたものね……」
梨「もう駄目なのですよ☆みんな来世で逢いましょうです。」
魅「何を諦めてるの!? まだチャンスはあるよ!」

レ「何があるって? レナにも教えて欲しいな。魅ぃちゃん。」

魅「……レ、レナ……」
レ「全部、園崎家の仕業だったんだね。嘘吐き。」
魅「ちが……止めて……その鉈を下ろして……お願いだから……」
レ「それ無理♪」
圭「レナ止めろ、おい魅音――」

   
 バキッ! ドガッ! グシャッ (yoshi風に)



沙「いやぁああああああああああああああああッ!!」
圭「くそっ…………」


274 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 19:52:58.65 ID: l+TDV6Z50

圭「誰か……誰か魅音を助けてやってくれ……神様……」
総「ハァハァハァ……Sの血が目覚めそうだ……」
圭 (゜д゜)
沙「そ、総一郎さん!?」
梨「みー☆最悪な奴が来たのですよ。」
圭「そんな所で写真撮ってないで、魅音を助けてくれよ!!」
総「せめてあと10枚……」
沙「早く助けないと死んでしまいますわよ!?」
圭「まだレナに存在を知られてないお前だけが頼りなんだ、頼む!!」
総「ふふん……まぁ、そこまで言うならいいけど?」
圭(帰ったら金属バットで撲殺してやる。)
 「……た、助かったぜ。」
総「では、まずは腕のロープを解いてやる。」

レ「総一郎くんって器用なんだね。かなり固く結んであるのに。」
総「こう見えても警察官だぞ? 逮捕術の基礎だ。」
レ「じゃあ、自分で自分を縛ったり出来るのかな? かな?」
総「なぁに朝飯前だ! はーはは!!」
レ「ちょっとやってみて。」
総「見たいか?」
レ「うん。」

276 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 20:03:41.97 ID: l+TDV6Z50


5分後


総「くそっ……いつの間に私まで縛られているんだ……」
圭「お前、真性の馬鹿だろ。」
総「な、何で私が真性包茎だと知っているんだ!!」
沙「一言喋るたびに恥を暴露してますわよ?」
梨「死ねなのです。」

レ『あはは、夜神さんも捕まっちゃったよ? たよ?』
大「糞が…………」
熊「どうします? もう時間が……」
大「19時まで1時間もありませんね……仕方ありません。突入を、」
レ『突入なんかしたら、すぐにガソリンに火、点けるから。』
熊「どうしろっていうんですか……」
大「やっぱり夜神さんを信じるしかないのか……」

レ『あと、夜神総一郎が私を不快にさせても爆発させるから。』

大「いっそ舌でも噛み切って死んでくれませんかねぇ……」

277 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 20:11:00.79 ID: l+TDV6Z50

レ「あはは。総一郎くんは警察の人達にも愛想を尽かされてるんだね。
  家でも奥さんに愛想を尽かされてるんじゃないかな?」
総「くッ…………!!」
沙(図星ですのね。)
レ「仕方ないよ。だって総一郎くんは左遷させられたんだから。」
総「殺人犯に何を言われても、痛くも痒くもないな。」
レ「……え? まだ誰も殺してないよ?」
総「嘘だッ!!」
レ(こいつ……目が変わった……)
総「レナ、いや竜宮礼奈。」
レ「そ、その名前で呼ぶなぁあああああああッ!!」
総「お前が渋井丸拓男を殺したな。」
レ「! シブタクくん……結局死んじゃったんだね。」
総「自分で殺しておいてしらばっくれるな!!」


279 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 20:19:03.50 ID: l+TDV6Z50

圭「おい……総一郎……シブタクが死んだってのは……」
総「本当だ。この目で遺体を見た。レナが車で轢き殺したんだ!」
沙「う、嘘ですわ! あんなに馬鹿でウザくてキモくて頭のおかしいシブタクさんが……」
圭「嘘だって言えよ、なぁ!!」
総「私は警察官だ……決して嘘は吐かん……」
魅「いや、それは嘘だろ。」
圭「レナ……お前本当にシブタクを殺したのか……?」
レ「いや、私まだ車とか運転出来ないし。」
総「嘘だァアアアアアアアッ!!」
レ「本当だよ糞が。」


280 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 20:24:29.35 ID: l+TDV6Z50

レ「あはは。やっぱり総一郎くんはウザいね。殺しちゃおう。」
圭「止めろ! これ以上罪を重ねるな!!」
沙「そうですわ! レナさんの罪が重くなるのを見ていられませんわ!」
総「あれ、私の心配は?」
魅「レナ……皆はあんたの事を想っていってるんだよ……?」
梨「今ならまだ引き返せるのですよ。自首するのです。」
総「おいおい、私を忘れてるじゃないのか?」
レ「駄目だよ。どっちにしろ総一郎だけは殺す予定だったんだから。」
総「mjsk」
レ「ごめんね。苦しまないように一撃で叩き割ってあげるから。」
圭「止めろレナァアアアアアアア!!」

レ「ばいばい。総一郎くん」


281 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 20:30:50.86 ID: l+TDV6Z50


ガスッ!



レ「……何でロープが解けてるのかな? かな?」
圭「やっぱり逃げ出せるように緩めて縛っておいたんだな!!」
沙「少しはやるようですわね!」
総「いや、単に腕力が無いから緩かっただけなんだが……」
レ「まぁいいや。どうせ四肢が使えても、大した戦闘力は無いだろうし。」
総「ふふふ……果たして本当にそう思うか?」
レ「うん。」
圭「まぁ、鉈女と総一郎だからな。」
梨「惨敗する姿が目に見えるようなのです。」
総「レナ……これを見ても、まだそんな事が言ってられるのか?」
圭「拳銃じゃないか!!」
沙「銃刀法違反ですわよ!!」
魅「いや、総一郎は警察官なんだし……」
レ「……………・…」


282 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 20:31:53.89 ID: l+TDV6Z50

総「鉈と拳銃だ。どちらが有利かは明らかだろう。降参しろ。」
レ「…………それは出来ない。」
総「何故だ?」
レ「私が諦めたらみんな死んじゃうんだよ。」
総「どうしてそこまで――」
レ「だって、私は正義の味方だもの。」
総「…………」

 駄目だ……今、レナは狂ってる……
 人を殺しておいて正義だと?
 これじゃあ……まるでキラと同じじゃないか。
 人殺しの目だ。
 レナは今、人殺しの目をしている。
 駄目だこいつ……早く何とかしないと……


284 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 20:50:22.89 ID: l+TDV6Z50
梨「総一郎! 早く私たちのロープを解いて!!」
圭「な……梨花ちゃん……何を――」
魅「! そうか、レナは総一郎が銃を向けてる間は手出しできないんだ!」
レ「チッ……!」
総「分かった、少し待ってろ。」
梨「早くしなさい!!」
総「うぅ……」

 総一郎は梨花に近付き、腕のロープに手をかけた。
 勿論、銃はレナに向けたまま。
 だが、レナは動いた。
 そこには微かな躊躇いも無い。


285 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 20:54:15.99 ID: l+TDV6Z50


レ「動いちゃ駄目だって言ったでしょおおおおおッ!!」
梨「早くロープを解いて!!」
総「幼女のヌクモリを感じていたいんだ。」
沙「間に合いませんわ……!!」
魅「いやぁあああああああああああああッ!!!」
圭「撃つな、撃つんじゃない総一郎!!」

 レナが鉈を振りかぶる。
 最初に鋭利な刃物を振り下ろす先は――総一郎。
 だが、総一郎はまだ梨花の身体を触っている。

「これは死んだな。」
 
 その場にいた誰もが、そう思った。


287 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 21:01:39.58 ID: l+TDV6Z50
梨「解けた!」
総「手ごわいロープだったな……」
沙「梨花、危ない!!」
魅「総一郎を盾にして避けてッ!!」
圭「止めろレナァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
総「圭一、うるさいぞ。」

 梨花は総一郎の右腕から強引に銃を奪い取り、
 ロープの解けた腕で、何の躊躇いも無く引き金を引いた。
 弾丸はレナに命中して肉を抉る。
 辺りに血が、飛び散った。

レ「ァアアアッ!!」
圭「レナ! 梨花ちゃん、撃つなって言っただろ!!」
梨「大丈夫よ……ハァハァ……峰打ちだから…ハァ……ハァ……」
総「峰打ちなら大丈夫だな。」
魅「いや、明らかに肉抉れてるよね。」

288 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 21:07:33.62 ID: l+TDV6Z50
 レナが倒れている間に、梨花が皆のロープを解いていく。
 一方、総一郎は鉛筆を使った。


圭「よっしゃ、こっちは全員解放したぞ!!」
沙「みんな無事でしてよ!!」
魅「オジさんも……怪我してなきゃ手伝えたんだけどね……」
梨「総一郎、一応お礼を言うわ……ありがとう……」
総「 こ れ は フ ラ グ の 予 感 」
圭「死亡フラグな。」

魅「あれ……レナは?」
沙「いつの前にか……消えてますわね……」
圭「総一郎、見張ってろって言っただろ!」
総「新世界の神である私に指図するな、愚鈍な俗物よ!!」
梨「死ねなのです。」


294 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 21:23:12.85 ID: l+TDV6Z50


レ「あっはっはっはっは!!」


圭「屋上の方から狂ったような笑い声が聞こえてくる……」
沙「きっとレナさんは上に向かいましたのよ!!」
魅「何で撃たれたのに動けるの……?」
梨「峰打ち、だからなのです。」
魅「でも肉と血が……」
梨「黙れ小娘。」
魅「はい。」



 教室の中が騒然となり始める。
 窮地に陥った人間がとる行動は自爆。
 恐らくレナは今すぐに学校を爆破させる気だ。
 こんな小さな教室、炭焼きどころでは済まなくなる。
 まだ低学年の生徒達は恐怖し、大慌てで出口へ向かう。
 皆、われ先にと言わんばかりの勢いで教室を飛び出そうとした。


圭「みんな慌てるな!! ゆっくりと迅速に避難するんだ!!」
魅「早くしないと爆発に巻き込まれるよ! 押さないで!」
沙「生徒の避難誘導はお任せあれですわ~!」
梨「僕はレナを追うのです……」



総「どけ、糞ガキ共!! 私は神だぞ!!」


299 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 21:47:19.47 ID: l+TDV6Z50

圭「俺も、梨花ちゃんと一緒にレナを追う……」
魅「私も行くよ……何たって部長だからね……痛ッ……」
圭「おい魅音! お前は怪我してるんだから避難しとけって!」
魅「大丈夫、鉈で頭何回か殴られただけだし。」
梨「峰打ちでしたか……?」
魅「い、いや、レナは結構本気だったと思うけど……」
梨「なら止めておいた方がいいのです。」
圭「そうだぜ、魅音。峰打ちじゃないなら危険だ。」
魅「………………」

沙「圭一さん達も、早く避難なさいませ!」
梨「……圭一も行って下さい。」
圭「な、なんでだよ梨花ちゃん! 俺だって――」
梨「レナを殺す覚悟はあるのですか?」
圭「え……」
梨「きっとレナは僕たちを殺すつもりで襲ってきます。」
魅「確かに……相応の覚悟が無いなら行かない方がいいね。」
圭「だけど……だけど……ッ!」
梨「心配しなくても、レナは生け捕りにするのです。」
圭「梨花ちゃん……すまねぇ……」


総「うわーーーーっ死にたくない!! 逝きたくないーーーーーッ!!」


304 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 22:09:23.23 ID: l+TDV6Z50

梨「沙都子、みんなを宜しくお願いしますです。」
沙「な……梨花も早くお逃げなさい!」
梨「じゃあ、圭一、魅音、沙都子。」
圭「………………」
魅「梨花ちゃん……」
梨「また、明日学校で会いましょうなのですよ。」

圭「くそッ……もし梨花ちゃんに何かあったら…………ッ!!」
魅「圭ちゃん……縁起でもないこと言わないでよ……」
沙「そうですわ。梨花が簡単に死ぬ筈ありませんもの……」
総「早く走れ糞ガキ! 命があってナンボの世界だ!」
圭「…………………っ……うっ……」
魅「……っ……くっ……酷いよ……神様……」
沙「どうして……オヤシロ様は助けてくれませんの……?」
魅「仕方ないよ…………誰も神様を……裁けないんだから……」






    『誰も俺を裁けない……へへ……』





総「!!」

総(シブタク……お前は……)

306 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 22:17:04.47 ID: l+TDV6Z50

総「…………圭一。」
圭「何だよ……今度はチンコが爆発したのか?」
総「私の警察手帳だ。預かっててくれ。」
圭「? 何で俺が……って、おい! どこ行くんだ!?」
総「逃げようと思ったが、もう止めた。」

魅「まさか、屋上に行く気!?」
沙「どうして急に……頭でも打ちましたの?」
総「いや……さっき、魅音の言葉を聞いた時……友人に怒られた気がした。」
圭「お前に友人なんかいたのか?」
総「あぁ。遠い所に逝ってしまったな……それに、」
魅「……それに?」
総「ここで引き下がったら……月や粧裕に嫌われる。」
圭「総一郎……」
総「お前たちは早く避難するんだ。」
魅「でも!!」
総「心配は要らない、私は新世界の神“キラ”だ。」
沙「キラ……」
総「大丈夫だ、早く走れ!!」
圭「ッ……死ぬなよ。」
総「あぁ。」


 竜宮レナ、お前がオヤシロ様の代行者であったとしても。
 古くから人間に天誅を下し続けてきた神だとしても。


総「誰も私を……裁けない……!!」

312 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 22:35:04.61 ID: l+TDV6Z50

屋上


レ「梨花ちゃん一人で来るなんて……大した度胸だね。」
梨「クスクス……あんたこそ、私を小便臭いガキだと思ってると、死ぬわよ?」
レ「そんなモップ一本で何をする気なのかな? かな?」
梨「モップでも何でも、皆が逃げるまで食い止められたら文句無いわ。」
レ「ただの時間稼ぎって訳だ。」
梨「あら、時間稼ぎも立派な任務よ。」
レ「命を捨てて臨んだって、5分も持つかな? ……かな?」
梨「生憎ね、1分も稼げれば充分なの。遊んであげるわ、おいで鉈女……!」
レ「あはははは!! 無謀無謀無謀ッ!!」
梨「鉈気違いが……ッ!!」


 鉈が空を裂き、梨花の肩を掠め、コンクリートを叩き割る。
 あまりに重いその鉈を、十数年しか生きていない筈の少女は軽々と使いこなした。
 圧倒的に不利。
 梨花はモップ一本で鉈の攻撃を防げる訳も無く、
 無様にも地面にへたり込む様な形で、レナに背中を向けてしまった。
 勿論、殺人狂と化した少女がこの隙を見逃す筈は無い。
 一瞬の出来事。
 梨花には永遠にも等しい時間が過ぎていく。
 鉈が閃き振り下ろされた。
 ただ、それだけの事なのに。



315 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 22:51:50.02 ID: l+TDV6Z50









 
いくら経っても梨花の脳漿がぶち撒けられる事はない。
 少女は、心のどこかで信じていたのか。
 それとも知っていたのか。
 定かではない。


総「……間に合った……」


 襲い掛かる鉈を、左腕だけで受け止めた。

総「……数え切れない世界で後悔した。いつも、気付く時には手遅れだった……。」

 代償として、腕を一本失った。

総「………私が、ずっとずっと、……一番伝えたかった言葉を言うよ。」


 血飛沫が地面を染める。



梨「……あ、…………あ、」

 少女は声も出ない。

 そして――



総「梨花ちゃん、 君を  助けに来た!!」



 神は言った。

332 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 23:06:30.19 ID: l+TDV6Z50

梨「総一郎ぉおおおおおッ!!」

 少女は涙を流す。
 絶対に来ると思っていた。
 助けに来てくれると、信じていた。
 だけど、絶対に彼の胸には飛び込まなかった。
 なんか生理的に受け付けないから。
 耳の裏から加齢臭が漂ってくるから……!!


レ「馬鹿だね……戻ってきたんだ、総一郎くん。」
梨「……!! 総一郎!」

 梨花が総一郎の異変に気付く。
 だけど、声にならない。
 何を言っても嗚咽に変わる……

梨「ひっく……えぐ……」
総「恩にきるよ梨花ちゃん、私達の為に戦ってくれてたんだな。」
梨「うっ……ぅう……ぁああん……」
総「おい泣くな、オヤシロ様の生まれ変わりだろ?」

梨「……だって…・…!! 総一郎…!! ………腕が!!!」


 ……総一郎の左腕が、無い。
 レナの鉈に切り落とされたのだろう。
 白いシャツの左の肩口から、深紅の血液が滴り落ちる……
 総一郎は、残った右手で優しく梨花ちゃんの頭を撫でた。


総「安いもんだ、腕の一本くらい………無事でよかった。」
梨「……うっ………!! ……うわああああああああああああああああああ…………

339 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 23:32:55.12 ID: l+TDV6Z50
 ゴッ

 梨花の号泣は、突如響いたブロックの破壊音に打ち消される。
 レナが、鉈でコンクリートを砕いた音だった。
 無視されていたのが余程ムカついたのか、鬼のような顔をしている。
 そう、人食い鬼の様な。


レ「臭い三文芝居は……もう十分でしょ?」
総「……お前は……誰だ?」
レ「あはは。何を言ってるのかな? 竜宮レナだよ。」
総「違う。お前は鬼だ。」
レ「? 総一郎くんが何を言ってるのか、分からないな……クスクス……」
総「俺を呼ぶときは……キラと呼べ。」
レ「キラ?」
総「新世界の神の名前だ。覚えておけ。」
レ「総一郎くんが何を言ってるのか、本当に分からない……」

342 名前: 魔法少女(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/24(土) 23:46:53.93 ID: l+TDV6Z50

レ「思い返せば……シブタクの時も、梨花ちゃんの時も、いつも総一郎くんに邪魔されてたんだね……」
総「私は、レナの邪魔をし続ける。今までも……これからも。」
レ「あはははは、総一郎君とはもっと別の世界で出逢いたかったよ。」


 しばらく、何も話さない静寂が屋上を包み込んだ。
 月明かりが鬼と神を照らしている。
 総一郎は腕を押さえて梨花を抱え込むように座り込んでいた。
 レナは殺そうと思えば、すぐにでも殺せただろう。
 だが、彼女は総一郎と梨花に鉈を向けたまま言葉を紡ぐ。


レ「立って、総一郎くん。鬼ごっこは終わりだよ。」
総「いいのか? 今、私を殺さないと最期に後悔するぞ?」
レ「クスクス……初めてだよ、ここまで私をコケにした人は……」
総「じゃあ私が最初で最期だな。光栄だ。」
レ「お待たせしたね……さぁ、第2回戦と行こうよ。」
総「いいだろう、かかって来い。」

 総一郎が立ち上がり、拳銃を構える。
 レナは鉈にこびり付いた血を、不敵に笑いながら舐め取った。

346 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 00:01:22.09 ID: N2nGue3I0

レ「素晴らしいよ!! 最高のショーだと思わない!?」

 レナの猛攻が総一郎を追い詰める。
 拳銃しか武器を持っていない総一郎は、何発も攻撃する訳にはいかない。
 尚且つ急所を狙わない様に狙いを定める必要があった。


総(……駄目だ……梨花ちゃんを守りながら戦うのは……殺される……ッ!!)
レ「ほらほら、防御の手が緩んでるよ? ボディががら空だ!!」
総「ッ!!」

 内臓を攻撃され、総一郎は胃の中身を逆流させる。
 口内に吐寫物の酸味が広がった。

レ「さぁ、次は耳だよ!! ひざまずけ!! 命乞いをしろ!! 小僧から石を取り戻せ!!」
総「くそっ……死にたくないでござる! 絶対に、死にたくないでござる!!」
レ「無駄だよ。 ここで夜神総一郎と古手梨花は消えるんだから。」
総「……………………」


354 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 00:21:22.07 ID: N2nGue3I0

 夏とはいえ、夜の屋上に吹く風は冷たさを帯びている。
 三人の中年少女達を駆け抜ける風もまた、ヒヤリとしたものだった。
 総一郎は無言で、校庭に集まるパトカーや消防車、野次馬達を見つめている。
 レナは3分待っているつもりなのか、総一郎に念仏でも唱える時間を与えているのか。
 鉈を構えたまま、微動だにせず、ただ立ち尽くしていた。


総「なぁ、梨花ちゃん…………」
梨「……どうしたの?
総「ここで、死ぬか生きるか。選択して欲しい。」
梨「え?」


 問いかけの意味が分からない。
 死にたいか生きたいか、と言われれば生きたいに決まっている。
 だが、総一郎の言葉はそれ以上に何か意味を持っているようにも感じられた。


梨「……私は……生きたい。」
総「……本心か?」


 総一郎が、梨花を試すように訊いてくる。
 まるで、梨花が昭和58年の6月以降を生きた事が無いことを、
 何度も生まれ変わる魔女だということを、知っているかのような口調だ。

356 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 00:32:35.47 ID: N2nGue3I0

 梨花は考える。
 本当に自分は、レナが人を殺してしまった世界で生きていきたいのか?
 もう一度ここで死んで――新たな世界で、完璧な世界を生きた方が良いのではないか?
 そんな中途半端な気持ちを抱えたまま生きていくくらいなら、ここで死んでしまった方が楽なのではないか?
 様々な想いが梨花の心を渦巻いた。
 それでも、答えは最初から決まっていたのかもしれない。
 何度願っても得られなかった世界が、そこにあるのだ。仲間が全員(シブタク以外)生きている。
 なら、最初からそれを手放すなど考えられないじゃないか。
 梨花は瞑っていた目を開き、はっきりとした口調で総一郎に言い放った。


梨「いぎたい!!」


 総一郎がニヤりと笑う。
 レナは相変わらず手を出さない。
 自分の知らない場所で、世界が進んでいるような気がした。


総「それが世界の選択か……。」
梨「え?」
総「じゃあ……ここで、さよならだな。」


 そう言うと、総一郎は梨花の方に歩み寄り、腕を掴んで引っ張ると、
 その華奢な身体を校庭に向かって突き落とした。

 梨花の身体が宙を舞う。
 この高さから落ちれば、間違いなく即死である。

359 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 00:45:40.29 ID: N2nGue3I0
梨「なっ! 何をするだァーーーーーッ!」
総「こうするしか、無いんだ。」

 少女が叫びながら屋上から転落した。
 総一郎は、先程から沈黙を守っていたレナの方に向き直る。
 ようやく屋上は二人だけの空間となったのだ。


レ「いいの? 死んじゃうよ、梨花ちゃん。」
総「邪魔者がいなくなって清々した。」
レ「あはははは、総一郎君も中々の外道だね。」
総「新世界の神だからな、たまには冷酷にもなるさ。」

 総一郎は言い終わらないうちに、レナに向けて拳銃を構える。
 対するレナは、一向に怯えた様子も見せずに笑っていた。


レ「総一郎君。自爆する気だね?」
総「…………そうだ。」
レ「邪魔だから梨花ちゃんを突き落としたんだ。」
総「……下で大石さん達がネットを張っている筈だ。魅音が指示を出していた。」
レ「それでずっと校庭を見ていたんだね。一本取られたよ。」
総「神と鬼の戦いに、傍観者は必要ないだろう。」
レ「そうだね。」


 鉈が空を裂き、再び総一郎に襲い掛かる。
 梨花を守る必要が無くなった総一郎は、身軽に攻撃を受け流していく。
 格段に瞬発力、攻撃力、防御力が跳ね上がっている。
 やはり、元警察庁局長は伊達ではなかった。

361 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 00:52:55.51 ID: N2nGue3I0

レ「UREEYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!! 貧弱! 貧弱ゥ!」
総「私は人間をやめるぞ!レナーーっ!! 私は人間を超越するッ! 新世界の神になるーーッ!!」

 二人のダンスが繰広げられる。
 レナが廻り、総一郎が跳ね、再びレナが鉈を振る。
 ……思えばこの時、既に彼等は狂っていたのかも知れない。


 突然、レナの顔が不気味に歪んだ。 
 何かよからぬ事を考えている笑みが浮かんでいる。
 総一郎は少し距離を開けてレナと対峙した。


レ「あはははは……おかしいよね。ずっと考えてたんだ。」
  どうして元警視庁局長が、こんな寒村に左遷されたのかな? って。」
総「…………ッ!!」
レ「大石さんから聞いたよ。総一郎くんが雛見沢村に来る前に何をしたのか……。」
総「な、何だと……知っているのか……。」



          私の前科を。



総「止めろ、それを言うな…………。」
レ「過去に犯した罪からは永遠に逃げられないんだよ? だよ?」
総「そ、それだけは止めてくれ…………!!」
レ「くすくす……ねぇ、したんでしょ? 娘の粧裕ちゃんに、




       下 着 ド ロ ボ ウ  」



367 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 00:57:11.97 ID: N2nGue3I0


私はエリートだった。
東応大学を卒業し、警察庁へ入隊。
悪を許さず、己の正義を貫いてきたつもりだった。

だが……私は……私は……
事も有ろうか、娘の、実の娘の下着に手を出してしまい……
それでも私は、泣き叫ぶ粧裕の顔を見た私は……


レ「総一郎くんは変態さんなんだね。」
総「私が……変態……。」

レ「年端もいかない子供に手を出すなんて、変態さんな上にロリコンだ。」
総「ロリコン……ポリゴン……離婚……」


レ「そんな人と今まで同じ村に住んでたなんて、吐き気がするよ。」
総「……………………。」


レ「次は誰の下着に手をつけるのかな? 梨花ちゃんかな? 沙都子ちゃんかな?」
総「…………が…………い……。」

レ「え? 何か言った? もっと大きな声で言わないと聞こえないよ。」
総「…………で……何が……い…………。」


レ「文句があるなら大きな声で言いなさいよ!! 夜神総一郎!!」








総「男が変態で何が悪いんだッ!!!」





371 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 01:01:40.12 ID: N2nGue3I0

 既に先程までの決闘の雰囲気は台無し。
 学校爆破のことなど、とうの昔に忘れ去っている。
 今や二人を繋ぐものは総一郎の、男としてのプライドだけだった。
 闇の中に立つ変態と鉈女……それだけが、彼等の世界の全てだった。

レ「あんた……脳味噌腐ってるんじゃない?」


 そうだ。腐ってるさ。

レ「実の娘の下着を眺めて喜ぶ変質者の分際で……」


 粧裕が可愛い過ぎるからいけないんだ。


レ「変質者は生きてることが罪なんだ! 今すぐ死んでしまえ!!」

 否。私は――本能に従った。恥じる事など、何も無い。
 

 男は皆、変態だ。


373 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 01:02:35.62 ID: N2nGue3I0
総「黙れ鉈女。犯すぞ。」

レ「な…………ッ!!」

 空気が凍った。

総「これからお前を死刑台へ連れていく。」

レ「死刑台? な……何を言ってるのかな?」

総「ここでお前を殺し――私は死ぬ。」

レ「あははは!! 狂気の沙汰ね……」

総「黙れ。」


 私はレナに拳銃を突きつける。
 この至近距離だ。
 まぁ、外すことはあるまい。
 弾は……二発もあれば十分だろう。



総「竜宮レナ、殺人犯同士……地獄で会おう。」



378 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 01:10:51.30 ID: N2nGue3I0

 私はレナに突きつけた拳銃の引き金を引く。
 至近距離で。
 当然、外れることなく。
 弾は竜宮レナの心臓に突き刺さった。


総「すまない……」

 倒れる身体。
 目の前で、飛び散る鮮血。
 もう二度と見る事の出来ない、レナの笑顔。
 私がもっと上手いやり方を知っていれば……救えただろうか。
 例えばひどく醜いやり方でも、ひどく不器用なやり方でも、何でも良かったんだ。
 この少女を、暗い闇の淵から、救い出す事が出来ただろうか。
 もう二度と見る事の出来ない、礼奈の笑顔。
 目の前で、飛び散る鮮血。
 倒れる身体。

総「どうか許してくれ……礼奈。」





             ――――――夜神総一郎が雛見沢に左遷されたようです――――――

379 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 01:13:53.04 ID: N2nGue3I0


 私は死ぬつもりだった。
 死を決意して銃を頭部に当て、
 銃の引き金を、引いた……筈だった。


 どこまで覚えているのだろう。
 確か、震える人差し指で引き金を握って、
 その後で武装した十数人の警官隊が侵入してきた。
 私は無理やり両手を押さえつけられ、右手の拳銃を奪い取られ、
 こうして……結局は生き残ってしまったんだ。
 竜宮礼奈を手にかけ、私は一人で生き残った。
 地獄で会おうと、約束を守ることが出来なかった。
 月や粧裕や幸子は、人殺しの父親をどう思うだろう。
 一生、背負いきれない程の重荷を苦に生きていくのだ。
 私が殺したから。
 竜宮礼奈を 殺したから。



380 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 01:15:33.37 ID: N2nGue3I0


 後悔している。
 決して謝っても許される事じゃない。
 償いは世界との間に生じた亀裂を、更に深めていくだけだ。
 私は取り返しがつかない事をしてしまったのだから。


すまないすまないすまないすまないすまないすまないすまないすまない
すまないすまないすまないすまないすまないすまないすまないすまない
すまないすまないすまないすまないすまないすまないすまないすまない
すまないすまないすまないすまないすまないすまないすまないすまない


 謝罪が雨音に掻き消される。
 それでも、私は繰り返し続けるだろう。
 最愛の人への、決して届く事がない贖罪を。
 どうか許してくれ…………




 ~fin~ 夜神総一郎が雛見沢に左遷されたようです








394 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 01:45:49.21 ID: N2nGue3I0



「見事に焼けてますねぇ……んっふっふ~」
 大石さんが手帳を片手に、校舎の傍で突っ立っている。
 太陽が照りつける。
 額の汗は我慢できるが、背中の汗は気持ち悪い。
「一時はどうなるかと思いましたけど……」
「何とか被害を最小限に抑えられたのは、まぁ、良かったですね。」
 不謹慎かな、とは思ったが、私は大石さんに笑いかけた。
 彼も「今のは聞かなかったことにしますよ」と言って、再び手帳で顔を扇ぎ始める。



 あの事件……竜宮礼奈が営林署を占拠した事件から明けて翌日。
 犯人である少女は、雛見沢を訪れていた刑事によって殺害され、事件は幕を閉じた。
 被害者数も当初の予測を大きく外れ、死んだのは竜宮礼奈ただ一人という結果に終わった。
 勿論、私は刑事としての責任を果たすべく現場にいたのだが、
 物語に幕を下ろしたのは、一風変わった東京の刑事。
 名前を『夜神 総一郎』という男だった。


 殉職しかけた勇気と男らしさに敬意を込め、私は彼に少々、尊敬の念を抱き始めている。
 なんというか……大石さんにも似た、童心を兼ね備えた人物なのだ。
 夜神刑事は昨日、竜宮礼奈を射殺して自らも自殺を図って取り押さえられ、
 それ以来、ずっと興宮の精神病院に収容されている。


397 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 01:56:16.89 ID: N2nGue3I0


「熊ちゃ~ん!」
 大石さんが呼んでいる。何か見つけたのだろうか。
 私は、すっかりガソリン臭くなった教室へ足を踏み入れる。
 だが、そこに生徒達の姿は無い。当然だ。
 クラスメート達も、友人の狂気じみた行為の犠牲者になったのだ。
 今日は学校を休みにして、落ち着きを取り戻して欲しいという学校側からのアフターケアだろう。
 私は大石さんに近付いて話を聞く。


「いや……屋上の鑑識から報告がありましてね。ちと、妙な事が分かったんです。」
「妙な事ですか……?」
 
嫌な予感がして、大石さんを見る。
 特に真剣という表情でもないが、何か引っかかる物言いだ。

「実はね。夜神総一郎の腕なんですがね……見付からないんですよ。」
「腕が……一本、まだ見付かっていないんですか?」
「ええ、まるで最初の祟りみたいでしょ?」
 大石さんがヘラヘラと笑いながら言う。だが、冗談で言っている訳ではなさそうだ。
「そこでね。私、考えたんですけど……古手梨花、覚えてます?」
「覚えてますよ。屋上から落とされた時にネットで受け止めたの、俺たち警察じゃないですか。」
 
忘れるはずが無い。
 怪我をさせてはならないと、園崎の娘に叱られながら受け止めたのだ。

「それでですねぇ……これも、当てはまると思いませんか?」
「当てはまるって、何がですか?」

「第二の祟りですよ。死因は……転落、です。」


398 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 02:08:02.36 ID: N2nGue3I0

「でも……それくらいなら単なる偶然って事になるでしょう?」
 
そうだ。
 ただ死因と腕というワードが重なっただけ。
 別に、過去に起きた祟りと同じように考える必要は全く無い。

「確かに、こじ付けと言ってしまえばそれまでです……が。」

 大石さんが何かを考えるような仕草で私を見た。
 まだ何かを言いそびれているような感じだ。

「……熊ちゃん、あんた三年目の祟りで神主の妻が何を残して失踪したか、覚えてます?」
「遺書、ですよね? 自殺するって書いてある。」
「そうです。あの遺書があったから、我々は自殺と断定した。」
 
大石がオーバージェスチャーに話し続ける。
 もはや、これは小さな演説と言っても過言ではなかった。


「でね、前原圭一っているでしょ。夜神さんが居候してた前原屋敷の息子。」
 
そういえば、そんな子供が叫んでたような気がする。
 半泣きになりながら「中に梨花ちゃんと総一郎がいる、助けてくれ!」って。

「その前原圭一が何か……?」
「実はですよ~ これ、何だと思います?」
「警察手帳……? 夜神総一郎の警察手帳じゃないですか!!」
「ええ、実は前原圭一は夜神さんと別れる直前に、この手帳を受け取ったと言っています……」
 
もし、初めから夜神刑事が死ぬつもりだったとしたら……?
 それは――


「遺書、ってことになりませんか?」


399 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 02:22:37.58 ID: N2nGue3I0

「しかもですよ、この夜神さんの警察手帳。面白い事が書いてあります。」
「面白いこと? ……一体、何ですか?」
「詩ですよ、それも極めて、遺書に等しい詩です。余白のページ、開いてください。」
 
大石さんに言われるがまま、私はメモ用のページを開く。
 そこには、汚い字で何度も、何度も 『すまない』 と、殴り書きされていた。

「………………遺書だ。」
「ね? 面白いでしょ?」

 
大石さんがクック、と笑い声を洩らした。どこか楽しそうだ。
 何がそんなに面白いのか。所詮は全て憶測の域を出ないこじ付けに過ぎない。
 しかし、私の中には更に大きな疑問が芽生えているのもまた、事実。
 思い切って、私はその疑問を直接、大石さんにぶつけてみた。

「じゃあ……四年目の祟り……去年の殺しとの共通点はあるんですか?」
「んっふっふ、訊いてくると思いましたよ。」

 大石さんが予想通り、という顔をしたのが、若干悔しかった。

「去年の祟りの犯人なんですがね。私としてはやはり園崎が怪しいと踏んでます。」
「し、しかし、既に別の男が犯人として逮捕されてるじゃないですか。」
 
私がそう言うと、大石さんはニヤリと笑って「ビンゴですよ、熊ちゃん」と言った。

「その犯人ですけど……精神鑑定の結果、異常者だと判断されて獄中で自殺しましたね?」
「確かそうでしたね。」
「今回、夜神さんは事件の後でどこに搬送されました? そこで、何と判断されました?」

 精神病院で、事件の後遺症が残っているから入院させろと半ば強引に……

「……犯人は精神病患者、って事ですか?」
 
私がそう言うと、大石さんは急に声を静まらせ、

「何もそんなにピンポイントには言っていませんよ。あくまで全ては推測です。」と言って真顔になった。

400 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 02:32:44.12 ID: N2nGue3I0

 全ては推測。
 大石さんの言葉が引っかかる。
 私は、営林署の事後調査から戻っても、まだ彼の言葉が引っかかっていた。
 今までの祟りと、少なからず共通する今回の事件。
 不可解な点が多すぎるのもまた、事実。
 奇奇怪怪としている。
 私が一人で頭を抱えて唸っていると、やはり声をかけてきたのは大石さんだった。


「んっふっふ~ 悩んでますねぇ~」
「冗談じゃないですよ、さっきから妙に気になっちゃって……」
「せいぜい、不眠症にならないよう気を付けて下さいね。」
 
ニヤ二ヤと口元を歪めて笑う大石さんに、少々の気味悪さを感じながら、
 私はそれを表に出さないよう、平常を取り繕って訊いた。

「で、何か? 飯ならもう食いましたけど……」
「夜神さんが病院から姿を消したそうです。」
 
予想外の言葉。
 まさか、病院から消えるなんて……


「普通に消えたと思いますか?」
 
顔を上げた私の瞳に、大石さんの笑みが嫌に不気味に映った。
 一歩距離を取りながら「脱走してもメリットなんか無い筈です」と答えた。

「そうです。脱走してもメリットなんかありません。んっふっふ。」
「捜索状況はどうなってますか? 警視庁や東京の家族に連絡は――」


「夜神さんの住所、空家でしたよ。」

401 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 02:40:11.29 ID: N2nGue3I0
 は…………?
 そんな筈は無いだろう。
 だって、彼は確かに東京から来た刑事だと……


「熊ちゃん! しっかりして下さい!」
 
ハッと我に帰る。
 大石さんが私の名前を呼んでいた。

「急に黙り込んじゃうから、びっくりしましたよ~ んっふっふ」
 
ソノ笑イヲヤメロ……

「え? どうしたんですか? 恐い顔しちゃって?」
「あ、いや。どうしちゃったんでしょうね。」

 私は今、何を考えていたんだ……?
 大石さんを●す? 馬鹿な。

「そうそう、更に色々考えていると、他にも色々分かりましたよ。」
「な、何が分かったんですか?」
「んっふっふ~ 今年の祟り、誰が死にましたっけ?」
「えっと……最初に富竹、次に鷹野さん、そして竜宮レナ……」
「失踪したのは」

403 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 02:47:12.38 ID: N2nGue3I0

「失踪したのは……夜神総一郎と……」
「前原圭一の両親が祭りの翌日から行方不明です。」
 
大石さんが付け加える。
 どうやら、東京に行ってその翌日から連絡が取れないらしい。
 捜査届けも今朝、出ている。


「はい問題。これで何人死んで、何人消えましたか?」
「三人が死んで……三人が鬼隠し……」
 
数が、合致した。
 これも偶然だ。
 いや、偶然でなければならない。
 私は自分にそう、言い聞かせた。

「でもね。熊ちゃん。」
「…………」
 
大石さんが肩を掴む。妙に力が入っている。
 痛い。痛い。痛い。

「まだ、もう一人……誰か死んでませんか?」
「ッく……だ、誰ですか?」
「渋井丸 拓男が車に轢かれて死んだじゃないですか。んっふっふ……」

404 名前: 学校教諭(京都府) Mail: 投稿日: 2007/03/25(日) 02:58:53.89 ID: N2nGue3I0

 そうだ。
 渋井丸の死を数に入れたら、合計で死者が四人。
 それに対して行方不明者が、合計で三人……
 一人……足りない。

「で、でも渋井丸殺しの犯人は捕まってないですし……」
「ねぇ、熊ちゃん。何で私がこんな話をあなたにしてるか……分かりますか?」
「え………………」
 
背筋に無数の蟲が蠢いている様な感覚
 大石さんの口調は、妙に優しく、更に私を不信の渦に突き落とした。


「行方不明者が一人足りない……ね?」
「そ、それが私に何の関係があるんですか……?」
 
私の言葉を聞いた大石さんは、小さく舌打ちすると、私を睨みつけて……

「熊ちゃんは理解力が無いですねぇ~ んっふっふ~」




       ソノ ワライカタヲ ヤメロ





一週間後、××県鹿骨市雛見沢村に、大規模な火山ガスが充満する。
多くの村人はそのガスで死に、この時、雛見沢という村は完全に消滅した。
この災害の際、林道の脇道に一台のパトカーが乗り捨てられているのを発見する。
中からは、一人の刑事が変わり果てた姿で出てきたという。
彼の名前は――


   ~fin~       ――――――夜神総一郎が雛見沢に左遷されたようです――――――
                        番外編 『熊谷刑事の捜査日記』


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夜神総一郎が雛見沢に左遷されたようです
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comments

見えないのは俺だけか?

名無し!!:2007/03/26(月) 19:45:57 | URL | [編集]

IE先生がゴネたので火狐で再来した俺は勝ち組。

-:2007/03/26(月) 19:55:30 | URL | [編集]

米1
ごめんなさい
ちょっと調べてみる

はちみつ:2007/03/26(月) 20:00:59 | URL | [編集]

見れねww

名無し!!:2007/03/26(月) 21:16:19 | URL | [編集]

見れないのは俺だけじゃなくて安心

 :2007/03/26(月) 21:40:35 | URL | [編集]

大石さああああああああああああん

名無し!!:2007/03/26(月) 22:14:33 | URL | [編集]

IEで見れるようにしました。

はちみつ:2007/03/26(月) 22:27:34 | URL | [編集]

ギャグで引張ってきておきながら締め方はまさにひぐらし

-:2007/03/26(月) 22:47:03 | URL | [編集]

シブタク死んでから段々ひぐらしっぽくなってきて怖かったよぅ

-:2007/03/27(火) 12:10:09 | URL | [編集]

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